【担当者必見】会計・経理へのAIの導入・活用事例7選|会計ソフトも解説
会計AIの導入により、経理業務は大きな転換期を迎えています。AI会計ソフトの活用で、従来は手作業で行っていた仕訳や経費精算が自動化され、経理担当者の業務効率が劇的に向上。さらに、生成AIの登場により、より高度な経理業務の自動化も現実のものとなってきました。
しかし、「経理はAIによってなくなってしまうのか」「管理会計にAIは活用できるのか」といった不安や疑問の声も多く聞かれます。本記事では、会計AI導入のメリットや具体的な活用事例、AI会計監査の可能性まで、最新動向を踏まえて徹底解説します。経理業務の効率化を目指す企業の方々に、必ず役立つ情報をお届けします。
- 経理業務におけるAI活用の最新トレンドと、実際の導入効果(業務時間50%削減の実例も紹介)
- 経理業務はAIで本当になくなるのか?生成AI時代の経理担当者の新しい役割
- AI会計ソフトの選び方と、失敗しない導入ステップ(導入コストの目安も解説)
- 管理会計へのAI活用方法と、AI会計監査の最新動向
「AIで業務の自動化・効率化をしたい!だけど何から始めていいのかわからない・・・」という方はご気軽にご相談ください!
会計・経理×AI導入概要|経理業務はなくなる?
生成AIによる経理業務の革新
生成AIの登場により、経理業務は単なる自動化から知的な業務支援へと進化しています。従来の定型的な処理の自動化だけでなく、より複雑な判断や分析が必要な業務までAIがサポートできるようになってきました。
手書きの領収書や様々なフォーマットの請求書も高精度で読み取り、適切な処理が可能になりました。
経理に関する質問や相談に、チャットボットが自然な対話で回答できるようになりました。
財務データの分析から将来予測まで、より戦略的な意思決定をサポートします。
AIによる自動化が進む経理業務の範囲
現代の会計AIは、基本的なデータ入力から高度な財務分析まで、幅広い経理業務を自動化できます。
- 請求書・領収書のデータ化と仕訳
- 経費精算処理の自動化
- 月次決算・年次決算の処理
- 財務レポートの自動生成
- 予算実績管理
経理業務はAIに代替されるのか
経理業務は完全にAIに代替されるのではなく、人とAIの協働による新しい働き方へと進化していきます。
- AIは定型業務を効率化し、人間はより戦略的な業務に注力
- 複雑な判断や意思決定は引き続き人間が担当
- AIと人間のそれぞれの強みを活かした業務設計が重要
- 経理担当者の役割は「記録係」から「経営の参謀」へ進化
会計・経理でのAI導入のメリットとデメリット
メリット
会計AIの導入により、業務効率の大幅な向上とコスト削減、さらには経営判断の質の向上まで実現できます。
請求書処理や仕訳作業の自動化により、以下の効果が実証されています。
- 請求書発行業務:約50%の作業時間削減
- 請求書処理:従来の3分の1から4分の1まで工数短縮
- 事業会社の管理業務:80%削減
請求書処理や仕訳作業の自動化により、以下の効果が実証されています。
- 事業会社の管理業務:80%削減
- 請求書発行業務:約50%の作業時間削減
- 請求書処理:従来の3分の1から4分の1まで工数短縮
- 財務諸表やKPIをリアルタイムで可視化
- 単月・累積・前年比など、様々な切り口での業績分析が即時に可能
- データ分析に基づく迅速な意思決定をサポート
- 生成AIによる商品説明の法令順守チェック
- リアルタイムでのリスク監視とデータ分析による違反の事前検知
- 新規制や法律への迅速な適応をサポート
デメリット
会計AI導入には、いくつかの重要な課題や注意点があり、これらを事前に理解し対策を講じる必要があります。
- 初期導入コストの負担 – システム導入費用 – 従業員教育費用 – データ移行費用
- 運用体制の整備 – 担当者のスキルアップ – 新しい業務フローの確立 – マニュアルの整備
- セキュリティリスク – データ漏洩対策 – アクセス権限管理 – バックアップ体制
- システムの限界 – 非定型業務への対応 – 複雑な判断が必要な場面 – システムトラブル時の対応
これらのデメリットに対しては、以下のような対策を講じることが重要です。
- 段階的な導入によるコスト分散
- 充実した従業員研修プログラムの実施
- セキュリティ対策の徹底
- バックアップ体制の整備
- 定期的な運用状況の見直しと改善
会計・経理でのシーン別AI活用例
AI-OCRによる請求書・領収書の自動データ化
AI-OCRは、従来の単純な文字認識から進化し、複雑なレイアウトや手書き文字も高精度で読み取れるようになりました。具体的な活用シーンは以下の通りです。
大量の請求書をスキャンするだけで、金額、日付、取引先などの情報を自動抽出し、データベース化します。認識精度は99%以上を実現。
スマートフォンで撮影した領収書を即座にデータ化。経費申請から承認までの工程を大幅に短縮できます。
読み取ったデータを内容に応じて適切な勘定科目に自動分類。仕訳作業の手間を大幅に削減します。
AIによる自動仕訳機能の仕組み
AIによる自動仕訳は、機械学習を活用して過去の仕訳パターンを学習し、新規の取引を適切な勘定科目に自動的に振り分けます。
- 取引内容の自動認識と仕訳提案
- 仕訳パターンの学習と精度向上
- 異常値の検出と警告
- 仕訳ルールのカスタマイズ
経営分析・レポート作成機能
AIは膨大な会計データを分析し、経営判断に必要な洞察を自動的に抽出して、わかりやすいレポートを作成します。
- リアルタイムの財務状況分析
- キャッシュフロー予測
- 部門別収益分析
- 予実管理レポート
- 経営指標のベンチマーク比較
チャットボットによる問い合わせ対応
AIチャットボットは、会計や経理に関する日常的な問い合わせに24時間体制で対応し、業務効率を大幅に向上させます。
- 仕訳方法の質問対応
- 経費精算ルールの説明
- 会計システムの操作方法案内
- 税務関連の一般的な質問対応
- 各種書類の提出方法説明
会計・経理でのAI導入事例7選
三菱商事の経理文書データ抽出事例
三菱商事では、2024年4月~5月の2カ月間、AI-OCRと生成AIを組み合わせた経理文書のデータ抽出システムの実証実験を行い、保証債務情報の抽出で97%の正解率、支払調書の提出要否判定で98%の再現率を達成しました。
- 保証債務に関する契約書や残高証明書からの情報抽出:平均97%の正解率を達成
- 支払調書の提出要否判定:98%の再現率を実現
AI-OCRと生成AIを組み合わせたシステムにより、PDFデータの前処理、テキスト化、データ抽出、判定までの一連の処理を自動化
- 2024年4月:PDFデータの前処理からAI-OCRによるテキスト化、生成AIによるデータ抽出、調書提出要否判定までの自動実行フローを構築
- 2024年5月:週単位でのスプリント開発により精度改善を実施
中小企業での導入事例と効果
中小企業においても、クラウド型会計AIの導入により、大きな業務改善効果が報告されています。以下は、実際の導入企業での成果です。
月次決算作業
- 製造業A社では、クラウド型会計ソフトの導入により、月次決算作業を3日から1日に短縮しました。
残業時間
- マネーフォワードクラウド経費の導入により、月の経費精算処理時間が約60時間から25時間に短縮。
- 経理部門の残業時間は一般的に月平均20時間~30時間程度。
請求書処理のミス削減
- RPAによる支払処理の自動化により、人的ミスを90%削減することに成功しました。
経費精算の承認サイクル
- 経費精算システムの導入により、スマートフォンから申請・承認が可能となり、経費の申請・承認を約1分で完了できるようになりました4。
会計事務所でのAI活用事例
会計事務所では、AIの導入により顧客サービスの質を向上させながら、業務効率化を実現しています。主な活用事例は以下の通りです。
- AI-OCRと生成AIの組み合わせにより、保証債務情報の抽出で平均97%の正解率を達成
- 仕訳入力の自動化により人的ミスを削減し、入力負担を軽減
- 経営計画数値の評価や分析
- コスト内訳の自動分析
- 業務日報の生成
- 顧問先企業に関連する話題の提供
- 深澤会計事務所では年間1,200時間の業務時間削減を見込む
- 月次業務の多くを占める入力と仕訳作業の効率化により、年間100時間以上の削減が可能なクライアントも存在
トヨタ自動車の経理業務改革事例
トヨタ自動車は、経理業務のデジタルトランスフォーメーションを通じて、年間約4万時間の業務効率化を実現しました。
2020年に経理系基幹システムを全面刷新し、月に約4,000人分の出向労務費請求書のデジタル化・一元管理を実現しました。
Slack、Teamsなどのコミュニケーションツールや生成AIを活用し、身近な業務のDXと働き方改革を推進しています。
車種別の収益管理が可能な情報基盤を整備し、より適切な経営判断のための仮説検証機能を実現しています。
ソフトバンクのAI経費精算システム導入事例
ソフトバンクグループ企業のSB C&Sは、AI-OCRとRPAを連携させた経費精算管理プラットフォーム「経費申請 Auto Operator」を提供し、経費精算業務の自動化を実現しています。
経費精算処理の効率化
- マネーフォワードクラウド経費の導入により、経費精算にかかる時間を従来の1/10に削減
承認プロセス
- スマートフォンやPCから申請・承認が可能となり、いつでもどこでも経費処理が実施可能
不正検知対策
- AI-OCRとRPAの連携により、高精度・高スピードの自動処理を実現
- 不正や異常(不適切)な経費利用を自動検知するシステムを導入
自動化の実現方法
- AI-OCRで画像処理し、領収書データをテキストデータ化
- RPAにより経費精算システムへ自動入力を実施
- クレジットカードや電子マネーの明細から経費を自動登録し、科目を自動分類
楽天グループの財務分析AI活用事例
楽天グループは、OpenAIと戦略的パートナーシップを結び、データ分析やチャート作成などの実用的な分析支援を行う「Rakuten AI for Business」を2024年から提供開始し、企業活動の効率化を推進しています。
リアルタイムの財務分析
- 楽天は、「Rakuten Analytics」を通じて、企業のデータと楽天の統計データアセットを連携させ、顧客分析や意思決定支援を実現。
OpenAIとの戦略的パートナーシップ
- 2023年11月にOpenAIと戦略的パートナーシップを締結
- 「Rakuten AI for Business」を発表し、データ分析やチャート作成など実用的な分析支援を行う「Rakuten AI Analyst」を提供
- 2024年以降、業務改善や顧客との関係性強化を支援するAIプラットフォームを本格提供予定
データとAIの活用
- 70以上のサービスから得られる属性データや購買データを活用
- RAG(検索拡張生成)やコード生成機能を活用してデータから価値を創造
- 社内ナレッジベースを活用したAIシステムにより、ユーザーからの問い合わせ対応時間を短縮
新市場創造への取り組み
- インターネットサービスセグメントでは、データやAIの活用を通じた新しい市場の創造を目指し、マーケティング・オペレーション等の効率化や顧客体験向上を促進する独自の技術基盤「Rakuten AI」を始動
パナソニックのAI会計監査システム導入事例
パナソニックホールディングスは、2023年10月より人事・経理業務にAIを導入し、従来HRBPが行っていた問い合わせ対応業務の年間約50人分の工数を削減することに成功しました。
AI技術の活用により、大量のデータを対象とする監査が可能となり、異常検知やデータ分析の精度が向上しました。機械学習や自然言語処理技術により、不正や異常値を迅速に抽出できるようになりました。
連結財務諸表レベルおよび個社レベルの異常検知により、リスクの高い会社や勘定科目を特定し、仕訳レベルの異常検知や取引明細レベルの異常検知をシームレスに連携させることで、効率的かつ効果的な分析を実現しています。
監査人の業務は、リアルタイムでのリスク対応手続および被監査会社とのコミュニケーション、その先の未来予測を利用した監査といった領域に活躍の幅を広げています。モニタリングする監査システムを同時に実装して継続的な監視を行っています。
AIの導入は、企業の業務効率化に加え、戦略的な価値創造をもたらしています。財務部門では、従来型の業務自動化に加え、生成AIの活用により予測分析の精度向上や意思決定支援の強化が実現され、より高度な経営判断が可能になっています。
会計・経理でのAI導入の実践ガイド
導入前の準備と検討事項
会計AI導入の成功には、事前の十分な準備と現状分析が不可欠です。以下のステップに従って、計画的に導入を進めましょう。
- 現在の業務フローの可視化
- 課題点の洗い出し
- 改善が必要な業務の特定
- 具体的な数値目標の設定
- 期待する効果の明確化
- 投資対効果の試算
- プロジェクトチームの編成
- 担当者の選定と教育計画
- スケジュール策定
AI機能のある会計ソフトの選び方
AI会計ソフトの選定は、企業の規模や業務特性に応じて慎重に行う必要があります。以下のポイントを考慮して選択しましょう。
- 必要な機能の有無 – 自動仕訳機能 – AI-OCR機能 – レポート作成機能 – データ分析機能
- 使いやすさ – インターフェースの直感性 – モバイル対応 – カスタマイズ性
- コスト – 初期導入費用 – 月額利用料 – 保守費用
- サポート体制 – 導入支援 – 運用サポート – トラブル対応
導入後の運用体制とポイント
会計AIの効果を最大限に引き出すためには、導入後の適切な運用体制の構築が重要です。以下のポイントに注意して運用を進めましょう。
- 段階的な導入と運用開始
- 定期的な精度検証と改善
- 従業員教育の継続実施
- 運用ルールの明確化と徹底
- 定期的な効果測定と見直し
運用開始後は、以下のような具体的な取り組みを実施することで、スムーズな運用が可能になります。
月1回程度、運用状況の確認と課題の共有を行い、必要な改善策を検討します。
運用手順や注意点をまとめたマニュアルを作成し、定期的に更新します。
定量的な指標を設定し、導入効果を継続的に測定・評価します。
よくある質問
会計・経理へのAI導入コストについて
会計AIの導入コストは、企業規模や必要な機能によって大きく異なりますが、一般的に以下のような費用構造となっています。
- 小規模企業:5万円程度から導入可能
- 中規模企業:20万円から30万円程度
- 大規模企業:数百万円以上
- 個人・小規模向け:2,980円~5,000円
- 中規模企業向け:29,700円~58,000円
- 大規模企業向け:100,000円以上
保守・運用費用
- 基本サポート:月額5万円~10万円
- システムアップデート対応
- バージョンアップ管理費用
追加費用
- データ移行費用:要件により個別見積
- 初期設定費用:導入規模により変動
- 従業員教育費用:導入支援プランによる
RPAと会計AIの違い
RPAと会計AIは、どちらも業務効率化を目的としていますが、その特徴と得意分野は大きく異なります。以下の表で主な違いを比較してみましょう。
比較項目 | RPA | 会計AI |
---|---|---|
処理内容 | 定型的な作業の自動化 | 判断を伴う処理の自動化 |
学習能力 | なし(プログラム通りの動作) | あり(データから学習・進化) |
適用範囲 | 決められたルールに基づく作業 | 複雑な分析や予測を含む作業 |
柔軟性 | 低い(ルール変更時は再設定が必要) | 高い(状況に応じて対応可能) |
導入コスト | 比較的低い | 比較的高い |
データセキュリティ対策について
会計AIを導入する際は、機密性の高い財務データを扱うため、十分なセキュリティ対策が不可欠です。以下の対策を必ず実施しましょう。
役職や業務内容に応じて適切なアクセス権限を設定し、定期的な見直しを行います。多要素認証の導入も推奨されます。
保存データと通信データの両方で強力な暗号化を実施し、情報漏洩を防止します。特に重要な財務データは暗号化レベルを強化します。
定期的なバックアップと災害対策を実施し、データの安全性を確保します。クラウドとオンプレミスの両方でのバックアップを推奨します。
定期的なセキュリティ監査を実施し、脆弱性の有無をチェックします。外部の専門家による監査も検討しましょう。
これらの対策を適切に実施することで、安全かつ効率的な会計AI運用が可能になります。特に、クラウド型のシステムを利用する場合は、サービス提供者のセキュリティ対策についても十分な確認が必要です。
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