Azure料金計算ツールの使い方|vm料金計算や円表示の手順も解説
Azureの料金計算ツールを使いこなすことで、クラウド環境の構築コストを正確に見積もることができます。本記事では、Azure VM料金の計算方法から、Azure料金表の読み方、Azure料金計算ツールとTCO計算ツールの違いまで、具体的な料金例を交えて詳しく解説します。個人利用からエンタープライズまで、Azureのコスト管理に役立つハイブリッド特典の活用方法も含めて、実践的な内容をお届けします。
これから新規にAzureを導入する方はもちろん、すでにAzureを利用していて料金の最適化を検討している方にも役立つ情報が満載です。それでは、Azure料金計算ツールの基本から応用まで、順を追って見ていきましょう。
- Azure料金計算ツールとTCO計算ツールの違いと使い分け方
- Azure VMやストレージなど、サービス別の具体的な料金例と計算方法
- ハイブリッド特典を活用した効果的なコスト削減の方法
- 個人利用から企業の基幹システムまで、規模別の最適な構成と料金試算
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Azureの料金計算ツールとは
料金計算ツールの概要と特徴
Azure料金計算ツールは、Microsoft Azureが提供する公式の料金見積もりサービスです。このツールを使用することで、必要なリソースを選択し、予想される月額コストを簡単に算出することができます。
- リアルタイムの料金更新
- 複数のサービスを組み合わせた見積もり作成
- 通貨の切り替えが可能
- 見積もり結果の保存・共有機能
料金計算ツールでできること
Azure料金計算ツールでは、仮想マシン、ストレージ、データベースなど、さまざまなAzureサービスの料金試算が可能です。
必要なリソースの種類、スペック、数量を選択して、システム構成を設計できます。
予約インスタンスやハイブリッド特典を適用した場合の料金比較ができます。
計算結果をPDFやExcelファイルとしてエクスポートし、見積書として活用できます。
TCO計算ツールとの違い
Azure料金計算ツールとTCO(Total Cost of Ownership)計算ツールは、異なる目的で使用される別個のツールです。それぞれの特徴と違いを理解することで、より適切なコスト分析が可能になります。
項目 | 料金計算ツール | TCO計算ツール |
主な用途 | Azureサービスの月額料金試算 | オンプレミスとクラウドの総保有コスト比較 |
計算期間 | 月単位 | 1年から5年の長期 |
考慮する要素 | サービス利用料金のみ | インフラ、人件費、運用コストなど |
Azure料金体系の基礎知識
従量課金制の仕組み
Azureの基本的な料金体系は、使用した分だけ支払う従量課金制(Pay-as-you-go)を採用しています。この仕組みにより、必要な時に必要な分だけリソースを利用することができ、コストの最適化が可能となります。
- 使用量に応じた請求
- 最低利用期間なし
- 時間単位での課金
- リソースの追加・削除が自由
予約インスタンスとは
予約インスタンス(Reserved Instance)は、1年間または3年間の利用を事前に約束することで、大幅な割引を受けられる料金プランです。
従量課金と比較して最大72%の割引が適用されます。
固定料金のため、長期的な予算計画が立てやすくなります。
前払い、月払いから選択可能です。
ハイブリッド特典について
ハイブリッド特典は、既存のWindowsServerやSQLServerのライセンスをAzure環境で再利用できる特典で、最大で85%のコスト削減が可能です。
- Software Assurance付きライセンスの活用
- オンプレミスからクラウドへの段階的な移行が可能
- ライセンスコストの二重払いを防止
- 3年間の予約による事前確定料金
無料枠の活用方法
Azureの無料枠を効果的に活用することで、初期コストを抑えながらクラウドサービスを試すことができます。
- B1s、B2pts v2(ARMベース)、B2ats v2(AMDベース)の各バースト可能VMが毎月750時間、12か月間無料で利用可能
- Azure Virtual Machines(Windows/Linux)
- Azure Blob Storage(5GB LRS、20,000回の読み取りと10,000回の書き込み操作)
- Azure SQL Database(100,000 vCore秒/月、32GBのストレージ)
- Azure Active Directory(Azure AD)
- Azure App Service
- Azure Security Center
- Azure Virtual Network
- Azure SQL Database(100,000 vCoreの秒数/月、32GBのストレージ)
新規登録時に$200分のクレジットが付与され、30日間利用可能です。30日後または$200のクレジットを使い切った後は、従量課金に移行するかサービスを停止するかを選択する必要があります。12か月の無料サービスは、過去にAzureアカウントを持っていない新規ユーザーのみが対象です。
料金計算ツールの使い方詳細ガイド
アクセス方法と初期設定
Azure料金計算ツールは、Microsoftの公式サイトから直接アクセスでき、アカウント登録なしで利用することができます。
Azure料金計算ツールのWebサイトにアクセスします。
利用する地域(例:東日本、西日本)を選択します。
「新しい見積もり」ボタンをクリックして、見積もり作成を開始します。
通貨を円表示に変更する方法
Azure料金計算ツールでは、デフォルトでUSDで表示される料金を日本円(JPY)に簡単に切り替えることができます。
画面右上の通貨設定アイコンをクリックします。
ドロップダウンメニューから「JPY – 日本円」を選択します。
「適用」ボタンをクリックして設定を保存します。以降、すべての料金が日本円で表示されます。
リージョンとサービスの選択方法
適切なリージョンとサービスの選択は、パフォーマンスとコストの最適化に重要な影響を与えます。
- 日本国内のサービス利用:東日本リージョン(東京)、西日本リージョン(大阪)
- グローバルサービス:アジアパシフィック、米国、ヨーロッパ
- 災害対策:地理的に離れた複数リージョンの選択
具体的な入力手順
料金計算ツールでは、段階的なプロセスに従って必要なリソースを選択し、構成を設定することができます。
コンピューティング、ストレージ、ネットワークなど、必要なカテゴリを選択します。
Virtual Machines、Azure SQL Database、Azure Storageなど、必要なサービスを選択します。
インスタンスサイズ、ストレージ容量、ネットワーク帯域幅などの詳細を設定します。
バックアップ、監視、セキュリティなどの追加サービスを必要に応じて選択します。
よく使うサービスの料金計算例
仮想マシン(VM)の料金試算
仮想マシンの料金は、選択するVMのサイズ、稼働時間、ストレージ容量などによって変動します。以下に、一般的なWebサーバー構成の例を示します。
構成項目 | 仕様 | 月額料金(概算) |
---|---|---|
VMサイズ | D2s v3(2vCPU/8GBメモリ) | 約¥11,117/月($72/月) |
ネットワーク帯域幅 | 最初の100GB/月 | 無料 |
ネットワーク帯域幅 | 100GB超過分 | 約¥13/GB |
注意事項については以下を確認してください。
- 料金は地域によって異なります
- 表示価格はオンデマンド価格であり、予約インスタンスを使用すると大幅な割引が適用されます
- ストレージの具体的な価格は、選択するディスクの種類とサイズによって変動します
- 為替レートの変動により、実際の日本円での支払額は変動する可能性があります
- 正確な見積もりには、Azure料金計算ツールの使用を推奨します
ストレージアカウントの料金計算
ストレージアカウントの料金は、使用するストレージの種類、容量、トランザクション数、冗長性オプション、リージョンによって計算されます。
Blob Storage(汎用v2)
項目 | 仕様 | 月額料金(概算) |
---|---|---|
ストレージ容量 | ホットアクセス層500GB | 約¥2,840($0.0184/GB) |
トランザクション | 10,000リクエスト | 料金はリージョンと冗長性オプションによって異なる |
File Storage
項目 | 仕様 | 月額料金(概算) |
---|---|---|
ストレージ容量 | Standard File Shares 200GB | 約¥1,386($0.045/GB、LRSの場合) |
トランザクション | 5,000リクエスト | 料金はリージョンと冗長性オプションによって異なる |
注意事項については以下を確認してください。
- 大容量(50TB以上)の場合は段階的な割引が適用されます
- 予約容量を購入することで追加の割引が可能です
- 正確な見積もりにはAzure料金計算ツールの使用を推奨します
データベースサービスの見積方法
Azure SQL Databaseの料金は、購入モデル、サービスレベル、コンピューティングモデル、ハードウェア構成によって決定されます。
サービスレベルの比較(4vCoreの場合)
サービスレベル | 特徴 | 時間単価(概算) |
---|---|---|
General Purpose | 標準的なパフォーマンスと価格のバランス | $1.009/時 |
Business Critical | 3つの高可用性レプリカを含む(General Purposeの約2.7倍のコスト) | $2.718/時 |
Hyperscale | 0〜4の高可用性レプリカを選択可能 | レプリカ数により変動 |
ネットワーク関連の料金試算
ネットワーク関連の料金は、データ転送量、VPN接続、ロードバランサーなどの使用状況に応じて計算されます。
データ転送料金
転送タイプ | 料金 |
---|---|
仮想ネットワーク間の受信 | 無料1 |
仮想ネットワーク間の送信 | ゾーン1: $0.035/GB ゾーン2: $0.09/GB ゾーン3: $0.16/GB |
P2S VPN経由の送信 | 標準データ転送料金を適用 |
ロードバランサー料金
プラン | 料金 |
---|---|
Basic | 無料 |
Standard | • ゲートウェイ時間単価: $0.013/時(約¥1.92/時) • チェーン時間単価: $0.01/時(約¥1.48/時) • データ処理: $0.004/GB(約¥0.59/GB) |
コスト最適化のポイント
リソースサイズの最適化
適切なリソースサイズを選択することで、大幅なコスト削減が可能です。以下に、最適化のための主要なポイントをまとめます。
- 実際の使用状況に基づいたVMサイズの選択
- Azure Monitorによるリソース使用率の監視
- 不要なリソースの特定と削除
- 開発環境と本番環境の適切な使い分け
予約インスタンスの活用
予約インスタンスを活用することで、最大72%のコスト削減が可能です。以下の表で、支払いオプションごとの特徴を比較します。
支払いオプション | 特徴 | 割引率 |
---|---|---|
全額前払い | • 予約期間(1年または3年)の料金を一括で支払う • すべてのAzureサービスとサードパーティ製品に適用可能 | 最大72% |
月払い | • 総額を予約期間の月数で均等分割して支払う • 追加料金なし(総額は前払いと同じ) • 一部のサードパーティ製品には適用不可 • 為替レートにより月額が変動する可能性あり | 最大72% |
自動スケーリングの設定
自動スケーリングを適切に設定することで、需要に応じたリソースの調整が可能となり、コストを最適化できます。
CPU使用率が80%を超えた場合にインスタンス数を増やす
CPU使用率が20%を下回った場合にインスタンス数を減らす
最小・最大インスタンス数を設定し、コストの上限を管理
不要リソースの停止・削除
不要なリソースを適切に管理することで、無駄なコストを削減できます。以下に、主要な確認ポイントをまとめます。
- 未使用の仮想マシンの特定と停止
- 不要なストレージアカウントの削除
- 使用していないパブリックIPアドレスの解放
- 開発・テスト環境の運用時間の最適化
料金管理・確認方法
Azure Cost Managementの使い方
Azure Cost Managementは、クラウドコストを可視化し、効率的に管理するための無料ツールです。主な機能と活用方法を解説します。
リソースごとの使用状況と料金の詳細な分析が可能です。サブスクリプション、リソースグループ、サービスタイプなど、様々な観点から分析できます。
予算の設定と監視が可能で、設定した閾値を超えた場合にアラートを受け取ることができます。
コスト削減のための推奨事項が自動的に提示され、潜在的な節約機会を特定できます。
予算アラートの設定
予算アラートを設定することで、コストの超過を事前に防ぐことができます。
- 月間予算の80%に達した時点で通知
- 予算超過が予測された場合の事前警告
- 特定のリソースグループの予算管理
- メール通知とTeams通知の併用
請求書の確認方法
Azure portalから請求書を簡単に確認・ダウンロードすることができます。請求書には以下の情報が含まれています。
項目 | 内容 |
利用明細 | サービスごとの使用量と料金の詳細 |
課金期間 | 料金が発生した期間の明細 |
割引情報 | 適用された割引の詳細 |
税額 | 適用される消費税の計算 |
コスト分析レポートの活用
コスト分析レポートを活用することで、より詳細なコスト管理と最適化が可能になります。
- 月次コストの推移分析
- サービスごとの使用状況の把握
- リソースタグによるコスト配分
- カスタムレポートの作成と共有
料金計算ツールのシーン別使用例
小規模Webサイトの場合
企業の公式サイトやブログサイトなど、月間10万PV程度の小規模Webサイトの場合、以下のような構成で必要十分なパフォーマンスを確保できます。
- 月間PV:8万~10万
- コンテンツ量:記事500件程度
- メディアファイル:5GB程度
- バックアップ:日次実行
WordPressサイトを想定した具体的な構成と月額コストは以下の通りです。
1コア、1.75GBメモリ構成。SSL対応とカスタムドメイン設定込みで月額¥7,300。自動バックアップ機能も利用可能。
同時接続10-15ユーザーまで対応可能なMySQLデータベース。自動バックアップ込みで月額¥1,500。
画像やPDFなどのメディアファイル保存用。CDN連携による高速配信が可能で月額¥500程度。
基幹システムの場合
従業員500名規模の企業における受発注管理システムを想定し、高可用性を確保した構成例を見てみましょう。
- 同時アクセス:ピーク時100ユーザー
- 日次処理件数:8,000件程度
- データ容量:年間50GB増加
- 可用性要件:99.99%以上
コンポーネント | 構成詳細 | 月額 |
アプリケーション層 | D4s v3(4コア/16GB)× 2台 自動スケール設定付き | ¥60,000 |
データベース層 | SQL Database GP 8vCore Geo-レプリケーション有効 | ¥150,000 |
ネットワーク | ExpressRoute(50Mbps) 冗長構成 | ¥80,000 |
監視・セキュリティ | Application Insights Security Center | ¥30,000 |
開発環境の場合
10名規模の開発チームによるWebアプリケーション開発プロジェクトを想定し、必要な開発環境の構成例を見てみましょう。
開発環境の要件の以下の通りです。
- 開発スタック:.NET Core/React
- 開発プロセス:アジャイル開発(2週間スプリント)
- 必要環境:開発・テスト・ステージング
- コンテナ基盤:Kubernetes活用
3環境用に各2ノード構成: – 開発環境:B2msサイズ×2 – テスト環境:B2msサイズ×2 – ステージング環境:B2msサイズ×2
- クラスター管理自体は無料(Free tier)
- Standard tier:$0.10/クラスター/時間(SLA付き)
- 実際のコストはノード(VM)、ストレージ、ネットワークの使用量に応じて計算
Azure DevOpsによる構成: – ソースコード管理 – 自動ビルド設定 – 自動デプロイパイプライン – コード品質チェック
- 基本ユーザー5名まで無料
- Microsoft-hosted CI/CD:1,800分/月まで無料、追加で$40/並列ジョブ
- Self-hosted CI/CD:無制限の実行時間、追加並列ジョブ$15/月
Azure Container Registry
- Basic:$0.167/日(約¥25/日)
- Standard:$0.667/日(約¥99/日)
- Premium:$0.667/日(約¥99/日)
データ分析環境の場合
Eコマースサイトの購買データ分析基盤を想定し、日次100万件の取引データを処理・分析する環境の構成例を見てみましょう。
- データ量:取引データ(100万件/日)、行動ログ(1000万イベント/日)、商品データ(100万件)
- 分析内容:売上傾向分析、商品推奨エンジン、顧客分析、需要予測
データ収集基盤(Event Hubs Premium)
- 料金:$1.027/時間/処理ユニット
- 1処理ユニットあたり月額約$739.44
リアルタイム処理(Stream Analytics)
- 新価格モデル(V2)で最大80%のコスト削減が可能
- 1ストリーミングユニット = 1ストリーミングノード
- 月間集計使用量に基づく段階的割引を適用
データレイク(Data Lake Storage Gen2)
ストレージ層の料金
- Hotアクセス層:$0.15/GB/月(フラット料金)
- Coolアクセス層:
- 最初の50TB:$0.0208/GB/月
- 500TB超:$0.0152/GB/月
分析処理基盤(Azure Databricks Premium)
コンピュート料金(米国中部リージョン)
- Jobs Light Compute:$0.07/DBU時間
- Jobs Compute:$0.15/DBU時間
- All-Purpose Compute:$0.40/DBU時間
これらの構成例は一般的な使用パターンを想定したものです。実際の環境構築時には、具体的な要件に応じて適切なサイジングと構成の調整が必要となります。料金計算ツールを使用することで、様々なシナリオでのコストシミュレーションが可能です。
よくある質問と回答
料金の変動要因について
Azureの料金は、様々な要因によって変動する可能性があります。主な変動要因を理解することで、より効果的なコスト管理が可能になります。
- リソースの使用量変化
- 為替レートの変動
- サービス料金の改定
- リージョンによる価格差
最小利用料金について
Azureの多くのサービスには最小利用料金が設定されており、これを理解することでコスト計画を適切に立てることができます。
サービス | 最小利用料金 | 課金単位 |
仮想マシン | 1分単位 | 実際の使用時間 |
Managed Disk | 月額固定 | プロビジョニング済容量 |
App Service | 時間単位 | インスタンス時間 |
解約時の料金について
Azureサービスの解約時には、以下の点に注意が必要です。
使用した分のみの料金が請求されます。月の途中で解約しても、その時点までの使用分のみが課金対象となります。
すべてのリソースを適切に削除しないと、予期せぬ料金が発生する可能性があります。
予約インスタンスを契約している場合、解約時の取り扱いについて確認が必要です。
サポート料金について
Azureのサポートプランには複数の選択肢があり、ニーズに応じて適切なプランを選択することが重要です。
サポートプラン | 月額料金 | 主な特徴 |
---|---|---|
Basic | 無料 | • セルフヘルプリソース • コミュニティサポート • チケット発行可能 |
Developer | $29(約¥4,300) | • 試用および非運用環境向け • 営業時間内のメールサポート • 重大度A:初期応答1時間以内 |
Standard | $100(約¥14,800) | • 運用ワークロード環境向け • 24時間365日のメールと電話サポート • 重大度A:初期応答1時間以内 |
Professional Direct | $1,000(約¥148,000) | • ビジネス上重要な用途向け • ProDirectデリバリーマネージャーによるガイダンス • サポートAPI機能 • Azureエキスパートによるウェビナー |
以上で、Azure料金計算ツールに関する主要な情報をカバーしました。これらの知識を活用することで、より効率的なクラウドコスト管理が可能になります。
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