ChatGPT Enterpriseのセキュリティは本当に安全か?機密情報を扱う企業が導入前に確認すべき5つのポイント

「ChatGPT Enterpriseのセキュリティは本当に信頼できるのか?」「機密情報を入力しても大丈夫?」企業でのAI活用を検討する際、多くの経営者やIT担当者がこうした疑問を抱えています。実際、2023年のサムスン電子の情報漏洩事例をきっかけに、日本企業の多くがChatGPTの業務利用を制限する動きが広がりました。
しかし、ChatGPT Enterpriseは無料版や通常版とは全く異なるセキュリティ体制を備えており、データを学習に使わない、SOC 2 Type 2認証取得、AES-256暗号化など、企業レベルの安全性を確保しています。
本記事では、ChatGPT Enterpriseのセキュリティ機能を徹底解説します。料金体系や料金目安、導入企業の具体的な活用事例(MIXI、大日本印刷、ソフトバンクなど)、管理機能の詳細、さらにPlusやTeamプランとの違いまで、企業がAIを安全に活用するために必要な情報を網羅的にお届けしますので是非ご覧ください。
- ChatGPT Enterpriseのセキュリティ機能の全容
- 料金体系と料金目安、他プラン(Plus/Team)との違いと選び方
- 日本企業の導入事例と成果
- 管理機能の詳細と導入手順のベストプラクティス
- 機密情報を扱う際の注意点と社内ガイドライン策定のポイント
ChatGPT Enterpriseのセキュリティは本当に安全なのか?
企業のAI活用において、セキュリティは最優先課題です。OpenAIが提供するChatGPT Enterpriseは、エンタープライズグレードのセキュリティ基盤を備え、機密情報を扱う企業でも安心して利用できる設計です。
実際に、MIXIでは2025年3月の全社導入から3ヶ月で月間約17,600時間の業務時間削減を見込み、利用者の99%が生産性向上を実感しました。大日本印刷(DNP)も2025年2月から研究開発と新規事業開発部門に導入し、業務自動化を推進しています。
企業のChatGPT利用で懸念される情報漏洩リスク

ChatGPTの無料版や標準版では、ユーザーが入力したデータがAIモデルの学習に利用される可能性があります。2023年にサムスン電子で発生した情報漏洩事例では、従業員が機密性の高いソースコードや会議内容を無料版ChatGPTに入力し、社内で問題となりました。
この事例をきっかけに、多くの日本企業がChatGPTの業務利用を禁止または制限する動きが広がりました。プロンプトインジェクション攻撃やAPIを介した不正アクセスなど、AI特有のセキュリティリスクへの対策も必要です。
ChatGPT Enterpriseが解決する3つのセキュリティ課題

これらの機能は企業がAIを「攻めのツール」として活用するための基盤となります。

従来懸念されていたデータ学習リスクを排除し、企業向けに設計された堅牢なセキュリティ基盤を備えています。入力データが学習に利用されない設計や、SOC2準拠の運用体制により、機密情報の保護水準は大幅に向上しました。サムスンの事例のように無料版との区別を明確に理解し、社内ガバナンスと技術設定の両輪で管理することが重要です。
データを学習に使わない|最も重要なセキュリティ保証
ChatGPT Enterpriseの最大のセキュリティ保証は、ユーザーが入力したデータやプロンプト、出力結果をOpenAIのモデル学習に一切使用しないことです。この仕様により、機密性の高い技術情報、顧客データ、戦略資料を安心して扱えます。
サムスン電子の情報漏洩事例から学ぶ教訓
2023年にサムスン電子で発生した情報漏洩事例は、生成AI利用における重要な教訓です。
従業員が無料版ChatGPTに半導体設計のソースコードや社内会議の議事録を入力したことで、これらの情報がOpenAIのサーバーに送信され、潜在的な漏洩リスクが生じました。サムスン電子はこの事態を受けて社内でのChatGPT利用を一時全面禁止し、セキュアな代替手段の検討を開始しました。
無料版と企業版の違いを社員全員に教育し、機密情報の取り扱い基準を明確化することが、AI活用成功の前提条件となります。
無料版・有料版との決定的な違い
ChatGPTの各プランにおけるセキュリティ機能の違いは、企業利用において極めて重要です。
無料版(Free)とPlus(月額20ドル)では、入力データがモデル学習に利用される可能性があり、オプトアウト設定が必要です。Team(月額30ドル/人~)とEnterpriseでは、データ学習への利用が完全に除外されます。Enterpriseプランでは、SSOによる認証統合、管理コンソールでの利用状況監視、データ保持期間のカスタマイズ、無制限のGPT-4アクセスなど、大規模組織に必須の機能が提供されます。
| プラン | 月額料金 | データ学習利用 | 主なセキュリティ機能 | 適した組織 |
|---|---|---|---|---|
| Free(無料版) | $0 | される(オプトアウト可能だが会話履歴が30日で削除) | なし | 個人利用のみ |
| Plus | $20 | される可能性あり(オプトアウト設定必要) | なし | 個人・フリーランス |
| Pro | $200 | される可能性あり(オプトアウト可) | なし | 専門職・研究者 |
| Team | $25/人(年契約) $30/人(月契約) | されない(デフォルトで除外) | 管理コンソール ユーザー管理 | 10名以下の小規模チーム |
| Enterprise | 要問い合わせ | されない(デフォルトで除外) | SSO/SCIM 監査ログ RBAC権限管理 データ保持期間カスタマイズ 無制限GPT-4アクセス | 50名以上の大企業 厳格なコンプライアンス要件がある組織 |
プラン選択の目安
10名以下の小規模チームならTeamプランで十分ですが、50名以上の組織や厳格なコンプライアンス要件がある企業にはEnterpriseプランが適しています。
Teamプランは最低2ユーザーから契約可能で、年間契約の場合は月額25ドル/ユーザー、月額契約の場合は30ドル/ユーザーとなります。Enterpriseプランの具体的な料金は非公開ですが、複数の情報源では月額50~60ドル/ユーザー程度が目安とされています。



入力データを一切学習に利用しない設計を採用している点が最大の信頼要素です。これにより、企業は知的財産や顧客情報を安全に扱うことができます。特にサムスンの漏洩事例が示すように、「どのプランを使うか」の選択はリスク管理そのものです。
企業レベルのセキュリティ機能を徹底解説


ChatGPT Enterpriseは、エンタープライズグレードのセキュリティ基盤を複数の層で構築しています。通信路の暗号化、認証・認可の仕組み、国際的なコンプライアンス準拠により、金融機関や製造業などの厳格なセキュリティ要件にも対応できます。
大日本印刷(DNP)では、2025年2月に研究開発部門と新規事業開発部門にChatGPT Enterpriseを導入し、従来比50%以上の業務自動化を目指しています。
エンドツーエンド暗号化とデータ保護技術
ChatGPT Enterpriseでは、転送時はTLS 1.2以上、保存時はAES-256による暗号化が施されています。通信路にはTLS 1.2以上のプロトコルが使用され、保存データ(データ・アット・レスト)にはAES-256暗号化が適用されます。これにより、通信傍受や不正アクセスによるデータ窃取のリスクを大幅に低減できます。
ChatGPT Enterpriseは2025年5月からデータレジデンシー機能を日本でも提供開始し、国内法規制への対応が可能になりました。
AES-256・TLS 1.2+による暗号化の仕組み
AES-256は米国政府が採用する暗号化標準で、2の256乗通りの鍵パターンを持ち、現代のコンピュータでは解読が実質不可能とされています。ChatGPT Enterpriseは、サーバー上に保存されるすべてのチャット履歴やアップロードファイルをAES-256で暗号化します。TLS 1.2+は通信路の暗号化プロトコルで、ユーザーとサーバー間のデータ転送中に第三者が内容を盗み見ることを防ぎます。
これらの技術により、社内ネットワークから外部AIサービスにアクセスする際の「通信経路上の漏洩」リスクがほぼゼロになります。企業のIT部門は、これらの暗号化仕様を確認し、自社のセキュリティポリシーとの整合性を検証する必要があります。
国際セキュリティ認証への準拠状況
ChatGPT Enterpriseは、複数の国際セキュリティ認証を取得し、グローバル企業のコンプライアンス要件に対応しています。
OpenAIは、SOC 2 Type 2認証、ISO/IEC 27001(情報セキュリティマネジメント)、ISO/IEC 27017(クラウドサービスセキュリティ)、ISO/IEC 27018(クラウド個人情報保護)、ISO/IEC 27701(プライバシー情報マネジメント)を取得済みです。GDPR(欧州一般データ保護規則)やCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)にも準拠し、個人情報の適切な取り扱いを保証しています。
日本企業にとっては、個人情報保護法や業界固有の規制(金融庁のガイドライン等)との整合性確認が重要です。
SOC 2 Type 2・ISO認証の意味
SOC 2 Type 2は、米国公認会計士協会(AICPA)が定めるセキュリティ監査基準で、セキュリティ、可用性、処理の完全性、機密性、プライバシーの5つの信頼原則について、設計の適切性だけでなく運用の有効性も評価します。
ChatGPT EnterpriseがSOC 2 Type 2認証を取得していることは、第三者監査人が継続的にセキュリティ管理体制を検証している証拠です。ISO 27001は情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格で、リスク評価・管理プロセスが確立されていることを示します。
自社の監査部門やセキュリティ担当者が、OpenAI Trust Portalから最新のSOC報告書やペネトレーションテストレポートを入手し、詳細な技術検証を行うことを推奨します。
GDPR・CCPA対応とデータレジデンシー
ChatGPT Enterpriseは、GDPR(欧州一般データ保護規則)とCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)に完全準拠しており、個人データの処理や国際移転に関する厳格な要件を満たしています。
データレジデンシー機能では、企業が自社データを保存する地域(日本、米国、欧州、カナダ、韓国など)を選択できます。この機能により、日本の個人情報保護法が求める「国内保管」要件や、金融業界の「データローカライゼーション」規制にも対応可能です。契約時にデータ処理契約(DPA)を締結し、データ処理者としてのOpenAIの責任範囲を明確化することが重要です。
法務部門とIT部門が連携してDPAの内容を精査し、自社のデータガバナンスポリシーとの整合性を確認するプロセスが、導入成功の鍵となります。



ChatGPT Enterpriseは、通信・保存・運用の全段階で多層的なセキュリティを実装しており、金融・製造といった高リスク業界でも運用可能な設計です。TLS 1.2+とAES-256による暗号化は業界標準を超える堅牢性を持ち、SOC 2 Type 2やISO群の認証取得によって第三者監査の裏付けも確保しています。
管理者が使える統制機能の全容


ChatGPT Enterpriseは、管理者向けの統制機能が充実しており、組織全体のAI利用をガバナンスできます。トヨタコネクテッドでは、全社リスキリングプログラムとユースケース創出により、議事録作成やライセンス管理などで最大90%の時間削減を達成しました。
楽天グループは「AIエンパワーメント企業」を目標に掲げ、ChatGPT Enterpriseを導入し、社内でAI活用文化を推進しています。
SSO(シングルサインオン)とSCIMプロビジョニング
ChatGPT EnterpriseはSSO(シングルサインオン)に対応し、SAML 2.0およびOIDCプロトコルを通じてOkta、Azure AD(Microsoft Entra ID)、Google Workspaceなどの既存IDプロバイダーと統合できます。従業員は社内の既存アカウントで認証でき、パスワード管理の負担が軽減されます。
SCIM(System for Cross-domain Identity Management)プロビジョニングにより、人事システムと連携してユーザーアカウントの自動作成・更新・削除が可能です。大規模組織では、SSOとSCIMを活用することで、アカウント管理の自動化と退職者のアクセス即時停止が可能です。
ユーザー権限管理とロールベースアクセス制御
ChatGPT Enterpriseは、ロールベースアクセス制御(RBAC)により、ユーザーを「Owner」「Admin」「Member」の3つの役割に分類し、それぞれ異なる権限を付与できます。Ownerは組織全体の設定変更や請求管理が可能で、Adminはユーザー管理やカスタムGPTの公開範囲設定、Memberは通常の利用のみ許可されます。
部門別にAdminを配置することで、各部門のニーズに応じたカスタムGPT展開と利用促進が可能です。プロジェクトごとやチームごとにAdminを設定し、現場に近い管理体制を構築することで、AI活用の自律的な拡大が促進されます。
監査ログとアクセス履歴の可視化
ChatGPT Enterpriseの管理コンソールでは、全ユーザーのアクセス履歴、利用状況、チャット回数を可視化できます。監査ログには、ログイン時刻、使用したモデル、カスタムGPTの作成・削除、データエクスポートなどの操作履歴が記録されます。
監査ログ機能を活用することで、部門別の利用状況を継続的にモニタリングし、活用促進のための施策を実施できます。監査ログを単なる記録ではなく、AI活用促進のためのデータとして活用することが重要です。
高頻度利用者のユースケースを分析し、社内ベストプラクティスとして共有することで、組織全体の活用レベルを底上げできます。
データ保持期間のカスタマイズ設定
ChatGPT Enterpriseでは、チャット履歴やアップロードファイルのデータ保持期間をカスタマイズできます。デフォルトでは30日間保存されますが、企業のデータガバナンスポリシーに応じて、保持期間を短縮または延長、あるいは即時削除設定が可能です。
金融業界や医療業界など、データ保持に厳格な規制がある企業にとって、この機能は必須です。プロジェクト終了後や退職者のアカウント削除時に、関連するチャット履歴を自動削除するポリシーを設定することで、不要なデータ蓄積を防げます。データ保持期間の設定を法務部門と連携して決定し、定期的な見直しプロセスを確立することが望ましいです。



ID統合・権限管理・監査・データ保持といった統制機能を一体化しており、企業がAI利用を安全かつ計画的に運用できる設計になっています。SSOやSCIMによるアカウント自動管理は、特に大規模組織での運用効率とリスク低減に直結します。
プラン別セキュリティ機能の比較表
ChatGPTには複数のプランがあり、それぞれセキュリティ機能が異なります。以下の比較表は、企業が自社に最適なプランを選択する際の重要な判断材料です。
Free・Plus・Team・Enterpriseの違い
| 項目 | Free | Plus | Team | Enterprise |
|---|---|---|---|---|
| 月額料金 | $0 | $20 | $25/人(年契約) $30/人(月契約) | 要問い合わせ(目安: $50-60/人) |
| データ学習利用 | あり(オプトアウト可能だが履歴30日で削除) | あり(オプトアウト可能だが履歴30日で削除) | なし | なし |
| 暗号化レベル | TLS | TLS | TLS + AES-256 | TLS 1.2+ + AES-256 |
| SSO対応 | × | × | ○(SAML/OIDC対応) | ○(SAML/OIDC完全対応) |
| 管理コンソール | × | × | ○(基本機能) | ○(高度な分析機能) |
| 監査ログ | × | × | ○(基本) | ○(詳細) |
| データ保持制御 | × | × | × | ○(カスタマイズ可) |
| データレジデンシー | × | × | × | ○(日本含む複数地域) |
| カスタムGPT | × | ○(個人用) | ○(チーム共有) | ○(組織全体共有) |
| GPT-4アクセス | × | ○(制限あり) | ○(制限あり) | ○(無制限) |
| 最低契約人数 | 1名 | 1名 | 2名以上 | 要問い合わせ |
EnterpriseプランはTeamプランと比べて、データレジデンシー、詳細な監査ログ、データ保持期間のカスタマイズなど、エンタープライズグレードの追加機能を備えています。料金は非公開ですが、複数の情報源では月額50~60ドル/ユーザー程度が目安とされています(非公式)。
どの企業にEnterpriseプランが必要か
- 従業員数が50名以上で、全社的なAI活用を目指す組織
- 金融、医療、製造業など、厳格なコンプライアンス要件や機密情報を扱う業界
- カスタムGPTや独自AIエージェントを組織全体で共有し、業務標準化を進めたい企業
MIXIやソフトバンクのように、数百名から数万名規模での展開を計画する場合、管理機能の充実が不可欠です。MIXIやトヨタコネクテッドの事例が示すように、業務特化型GPTの展開がAI活用の鍵となります。



ChatGPTの各プランは、利用規模とセキュリティ要件に応じて明確に棲み分けされています。特にTeamとEnterpriseの差は、暗号化方式・監査ログの粒度・データ保持制御といった「統制レベルの深さ」にあります。50名以上の組織や金融・医療など規制産業では、データレジデンシーやRBACなどの機能を前提にしたEnterprise選定が実務的に必須です。
ChatGPT Enterprise導入企業の活用事例


日本国内では、2025年までに主要企業がChatGPT Enterpriseを本格導入し、具体的な成果を上げています。
Zenken AIの調査によると、日本国内で複数の主要企業がChatGPT Enterpriseを正式に導入し、大幅な生産性向上を達成しています。これらの事例は、AI活用が実験段階から実用段階へ移行していることを示しています。
ソフトバンクの2万人規模での展開
ソフトバンクは、2024年5月から全従業員約2万人にChatGPT Enterpriseを展開しました。通信事業における顧客対応の効率化、ネットワーク設計の高度化、新規事業の企画立案など、幅広い業務領域でAIを活用しています。同社は2025年2月にOpenAIとの合弁会社「SB OpenAI株式会社」を設立し、日本企業向けエンタープライズAIソリューションの開発に注力しています。
段階的展開(パイロット部門→拡大展開→全社展開)と経営層のコミットメントが、大規模AI導入の成功要因として挙げられます。
ダイキン・楽天・トヨタコネクテッドの導入成果
ダイキン工業は、空調技術の研究開発や海外市場分析でChatGPT Enterpriseを活用し、技術文書の多言語翻訳や特許調査の効率化を達成しました。
楽天は「AIエンパワーメント企業」を目標に掲げ、社内チャットボットの開発やカスタマーサポート業務の効率化に取り組んでいます。
トヨタコネクテッドは、全社リスキリングプログラムを通じて、議事録作成で90%、ライセンス管理で大幅な時間削減を達成しました。業務課題の明確化と社員教育の継続が、これらの企業の成功要因です。
業務別活用シーン|研究開発・マーケティング・人事
ダイキン工業が技術文書の多言語翻訳や業務レポート作成の効率化に活用
トヨタコネクテッドが議事録作成やライセンス管理で90%の時間削減を達成
MIXIが月間約17,600時間の業務時間削減を見込み、利用者の99%が生産性向上を実感
各部門の「時間を最も多く使っている定型業務」を特定し、そこから優先的にAI化することが効果的です。



「実験」から「全社活用」へと進化した証左です。ソフトバンクやトヨタコネクテッドのように、段階的展開と経営層の明確な支援体制を整えた企業ほど成果を出しています。
料金体系と導入までの流れ


ChatGPT Enterpriseの導入には、OpenAIへの直接問い合わせが必要であり、料金や契約条件は企業ごとにカスタマイズされます。透明性の高い導入プロセスと適切な料金見積もりが、AI活用の第一歩です。
ChatGPT Enterpriseの料金目安
ChatGPT Enterpriseの料金は公式に公開されていませんが、複数の情報源によると、1ユーザーあたり月額$50-60(約7,500円~9,000円)程度が目安とされています。料金は、契約ユーザー数、利用規模、追加機能(データレジデンシー設定など)によって変動します。
| 企業規模 | ユーザー数 | 月額料金(目安) | 年間料金(目安) | MIXI換算での削減時間※ | 推定価値創出(月額)※ | 投資対効果(ROI) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 小規模 | 50名 | 約37.5万円~45万円 | 約450万円~540万円 | 約550時間 | 約165万円 | 約270%~340% |
| 中規模 | 100名 | 約75万円~90万円 | 約900万円~1,080万円 | 約1,100時間 | 約330万円 | 約270%~340% |
| 中規模 | 500名 | 約375万円~450万円 | 約4,500万円~5,400万円 | 約5,500時間 | 約1,650万円 | 約270%~340% |
| 大規模 | 1,000名 | 約750万円~900万円 | 約9,000万円~1億800万円 | 約11,000時間 | 約3,300万円 | 約270%~340% |
| 大規模 | 1,600名(MIXI実績) | 約1,200万円~1,440万円 | 約1億4,400万円~1億7,280万円 | 17,600時間(実績) | 約5,280万円 | 約270%~340% |
※1ドル=150円、時間単価3,000円で換算。MIXI実績を基にした理論値であり、実際の削減効果は企業の活用状況により異なります。時間単価も企業により異なります。
ROI計算式: (削減時間 × 時間単価 – 月額料金) ÷ 月額料金 × 100
MIXIの事例では、全社1,600名の導入により月間17,600時間の削減効果が得られました。時間単価を仮に3,000円と設定すると月間約5,280万円の価値創出となり(※時間単価は企業により異なります)、投資対効果は極めて高いと言えます。
料金だけでなく、導入による生産性向上やコスト削減効果を定量的に試算し、ROI(投資対効果)を明確化することが重要です。
導入を検討する際は、OpenAI公式サイトから問い合わせを行い、自社の規模とニーズに合わせた正確な見積もりを取得することをおすすめします。
OpenAIへの問い合わせから導入完了まで
OpenAI公式サイトの問い合わせフォームから申請
OpenAIの営業担当者が企業のニーズをヒアリングし、見積もりと契約条件を提案
SSO設定やユーザーアカウントの一括登録、管理コンソールの初期設定を実施
導入決定から段階的な展開を行い、パイロット部門での成功事例を社内に共有することで、スムーズな全社展開が可能になります。
段階的導入のベストプラクティス


トヨタコネクテッドは、全社リスキリングプログラムとユースケース創出により、段階的にAI活用を拡大しました。各段階で「小さな成功体験」を積み重ね、現場の抵抗感を減らすことが重要です。



費用試算よりもROI(投資対効果)の定量評価を重視すべき段階に来ています。MIXIの事例のように、明確な生産性指標と段階的展開を組み合わせることで、経営層を巻き込んだスムーズな全社導入が可能になります。
導入時に確認すべきセキュリティチェックリスト
ChatGPT Enterprise導入時には、技術的なセキュリティ設定だけでなく、組織的な管理体制の構築が不可欠です。以下のチェックリストは、多くの導入支援で実証された実践的な項目です。
社内ガイドライン策定のポイント
- 入力禁止情報の明確化(個人情報、未公開の財務情報、顧客の機密情報など)
- 利用可能な業務範囲の定義
- カスタムGPT作成時の承認プロセス
- 外部API連携の可否基準
- 違反時の対応手順
導入時に具体的な目標(利用頻度や業務自動化率など)を設定し、ガイドラインと連動させることが重要です。ガイドラインを「禁止事項の羅列」ではなく「推奨ユースケースの提示」として設計することで、従業員の自律的な活用を促せます。
従業員教育で押さえるべき注意事項
- 基本的な使い方(プロンプトの書き方、カスタムGPTの利用法)
- セキュリティリスクの理解(サムスン電子の事例紹介など)
- 効果的なユースケース(社内成功事例の共有)
- 禁止事項と違反時のリスク
- 問い合わせ先と支援体制
MIXIは、全従業員対象のトレーニングプログラムを実施し、段階的なAI活用を推進しました。一度きりの研修ではなく、継続的な学習機会の提供が重要です。月次の社内勉強会や、成功事例の共有会、質問に答えるオフィスアワーの設置などが効果的です。
ローカルLLMとの比較検討
ChatGPT Enterpriseの代替として、ローカルLLM(Large Language Model)の導入を検討する企業もあります。
ローカルLLMは、自社サーバーやプライベートクラウド上でAIモデルを運用するため、データが外部に送信されず、最高レベルのセキュリティを実現できます。しかし、初期投資(GPU搭載サーバーの購入)、運用コスト(専門人材の確保)、モデルの性能(ChatGPT-4に匹敵する精度の確保が困難)という課題があります。極秘情報を扱う研究開発部門ではローカルLLM、一般業務ではChatGPT Enterpriseという使い分けが現実的です。
多くの企業にとって、初期段階ではChatGPT Enterpriseの方がコストパフォーマンスに優れており、ローカルLLMは将来的な選択肢として検討すべきです。



技術的な安全対策と人の運用設計を両輪で進めることが成功の鍵です。特に、明確な社内ガイドラインと継続的な教育プログラムの整備が、セキュリティ事故の未然防止につながります。
よくある質問|ChatGPT Enterpriseのセキュリティ
ChatGPT Enterpriseの導入検討時に、企業から頻繁に寄せられる質問とその回答をまとめました。
ChatGPT PlusとEnterpriseのセキュリティ面での違いは?
ChatGPT PlusとEnterpriseの最大の違いは、データ学習への利用とエンタープライズ管理機能の有無です。
Plusプランでは、デフォルトで入力データがモデル学習に使用される可能性があり、オプトアウト設定が必要です。Enterpriseプランでは、データ学習への利用が完全に除外され、SSO、監査ログ、データ保持期間のカスタマイズなど、企業向け統制機能が標準装備されます。
料金面では、Plusが月額$20(約3,000円)に対し、Enterpriseは月額$50-60/ユーザー(約7,500円~9,000円)程度ですが、50名以上の組織では管理効率の向上により、実質的なコストパフォーマンスはEnterpriseの方が優れています。
機密情報を入力しても本当に安全ですか?
ChatGPT Enterpriseでは、入力データがAIモデルの学習に一切使用されず、通信路と保存データの両方がAES-256とTLS 1.2+で暗号化されるため、技術的には高い安全性が確保されています。
SOC 2 Type 2認証やISO 27001準拠により、第三者監査人がセキュリティ管理体制を継続的に検証しています。ただし、「技術的に安全」と「業務上適切」は別問題です。未発表の新製品情報や大型M&A案件など、企業存続に関わる最高機密は、たとえEnterpriseプランでも入力を避けるべきです。
情報の機密レベルを「公開情報」「社内限定」「機密」「極秘」の4段階に分類し、「機密」までをChatGPT利用可、「極秘」は利用不可とするガイドラインが有効です。
ChatGPT Enterpriseの管理機能にはどのようなものがありますか?
- 管理コンソール(全ユーザーの利用状況、チャット回数、カスタムGPTの作成状況を可視化)
- SSO/SCIM(既存IDプロバイダーとの統合、アカウント自動管理)
- ロールベースアクセス制御(Owner/Admin/Memberの権限分離)
- 監査ログ(全操作履歴の記録とエクスポート)
- データ保持期間のカスタマイズ
- カスタムGPT共有範囲の制御(個人/チーム/組織全体)
- 外部API連携の制御
これらの管理機能を活用することで、部門別の利用状況を継続的にモニタリングし、組織全体での活用促進が可能になります。
ChatGPT Enterpriseの料金はいくらですか?
ChatGPT Enterpriseの料金は公式に公開されておらず、企業ごとにカスタマイズされますが、一般的な目安として1ユーザーあたり月額$50-60(約7,500円~9,000円)程度とされています。
料金は、契約ユーザー数、データレジデンシー設定の有無、OpenAIからの技術サポートレベルによって変動します。最低契約人数も企業によって異なるため、OpenAIへの問い合わせが必要です。実際の料金を知るには、OpenAI公式サイトの問い合わせフォームから見積もり依頼が必要です。
料金だけでなく、導入による業務効率化効果を定量的に試算することが重要です。MIXIの事例では月間17,600時間の削減効果が得られており、時間単価を考慮すると投資対効果は極めて高いと言えます。
無料版から段階的に移行できますか?
無料版から段階的にEnterpriseへ移行することは技術的に可能ですが、セキュリティ上の理由から推奨されません。無料版では入力データがモデル学習に使用される可能性があるため、機密情報を扱う企業では初めからTeamまたはEnterpriseプランで開始すべきです。
効果検証と社内ガイドライン策定を並行実施
大日本印刷(DNP)やMIXIの事例でも、パイロット部門での検証後に全社展開する段階的アプローチが採用
無料版は個人的な学習や実験のみに使用し、業務利用は初めから有料プラン(TeamまたはEnterprise)で開始することで、セキュリティリスクを回避しながらAI活用の効果を最大化できます。


