GitHub Copilot商用利用で失敗しないために|プラン選択と著作権対策

「GitHub Copilotを会社で使いたいけど、個人プランと法人プランの違いは?」「商用利用で著作権問題は大丈夫?」「料金プランが多すぎてどれを選べばいいか分からない」──ビジネスでのGitHub Copilot導入を検討する際、こうした疑問を抱える方は少なくありません。
実際、ProプランとBusinessプランの月額差はわずか9ドルですが、セキュリティ機能や知的財産補償の範囲は大きく異なり、選択を誤ると企業のコンプライアンスリスクにつながる可能性があります。
本記事では最新情報に基づき、GitHub Copilotの商用利用に必要なすべての知識を網羅的に解説します。Free・Pro・Pro+・Business・Enterpriseの全5プランの料金比較から、マイクロソフトが提供するCopilot Indemnity(知的財産補償制度)の詳細、日立製作所やNTTドコモなど日本企業の具体的な導入事例と生産性向上データまで、実務に即した情報をお届けします。
- 5つの料金プラン完全比較
- 商用利用の法的保護と著作権対策
- Businessプランの導入手順と組織管理
- 日本企業の導入事例と効果測定データ
- 実務運用のポイントとトラブル対処法
GitHub Copilotは商用利用できる?法人契約の基礎知識

GitHub Copilotは商用利用に対応しており、適切なプランを選べばビジネス環境で安全に活用できます。
法人契約と個人契約の最大の違いは、組織全体のポリシー管理やセキュリティ制御、知的財産保護が標準で備わっているかどうかでしょう。
商用利用に必要なプランと契約形態
ビジネス利用にはBusinessプラン(月額19ドル/ユーザー)かEnterpriseプラン(月額39ドル/ユーザー)の契約が求められます。組織単位でのライセンス管理、セキュリティポリシーの一元設定、コード提案のトレーニングデータからの除外設定が可能になるためです。
契約形態としては、Businessプランが組織(Organization)単位、Enterpriseプランがエンタープライズアカウント単位となり、管理機能のスコープが変わってきます。
個人プランでの商用利用リスクと対策
Proプラン(月額10ドル)は個人開発者向けのため、組織管理機能が一切なく、セキュリティ統制やコンプライアンス要件への対応が困難です。最も懸念されるのは、コード提案がAIのトレーニングデータに使われる可能性がある点と、知的財産補償(Copilot Indemnity)の対象外になる点でしょう。
責任ある企業運営を考えるなら、Businessプラン以上の契約を検討する価値があります。
ReAlice株式会社 AIコンサルタントGitHub Copilotは法人利用を前提としたプランが用意されており、適切な契約形態を選べば業務利用が可能です。個人契約との大きな違いは、組織全体での管理機能やセキュリティ統制が標準で提供される点にあります。
料金プラン徹底比較|あなたの会社に最適なのは?
プラン選びでは料金だけでなく、セキュリティ要件とチーム規模に応じた判断が重要になってきます。
GitHub Copilotには5つのプランがあり、それぞれ料金とプレミアムリクエスト上限、管理機能が異なるからです。
全5プランの料金と機能一覧


Freeプラン(無料)はプレミアムリクエストが月50回まで。Proプラン(月額10ドル)は300回、Pro+プラン(月額39ドル)は1,500回が上限となります。法人向けではBusinessプラン(月額19ドル/ユーザー)が300回、Enterpriseプラン(月額39ドル/ユーザー)が1,000回のプレミアムリクエストを利用可能です。
プレミアムリクエストとは、GPT-4やClaude Sonnetなどの高性能モデルを使う際に消費されるクォータのこと。Freeプランでは月50回しか高度なモデルを使えないため、本格的な開発には物足りないでしょう。
Businessプラン以上なら、組織ポリシー設定、監査ログ取得、トレーニングデータからのコード除外が標準装備されています。
BusinessとEnterpriseの選び方
単一Organization内でのチーム開発ならBusinessプラン、複数Organizationを統括管理する大規模組織ならEnterpriseプランが適しています。
Enterpriseプランでは、コードベースのインデックス化によるカスタムコード提案、エンタープライズアカウントによる全Organization横断のポリシー適用、プレミアムリクエスト上限1,000回(Businessの3倍以上)といった機能が追加されるのが特徴です。
NTTドコモは3,600名超の規模でCopilotを展開し、複数Organizationの統括管理にEnterpriseプランを採用しています。
プレミアムリクエストとコスト管理
2025年6月から全プランに導入されたプレミアムリクエスト制限は、高度なAIモデル使用時に消費される仕組みです。GPT-4.5を使うと1回のチャットで50プレミアムリクエストを消費するため、Businessプランの月間300回では実質6回しか使えない計算になります。
上限超過時は1リクエストあたり0.04ドルで追加購入できますが、大規模導入企業では利用状況の可視化と部門別コスト管理の仕組み構築が重要になります。
月間300リクエストの無料枠内に収まれば追加コストは発生しないため、利用者が自身の消費状況を把握できる環境整備が求められます。



Copilotのプラン選定では、単純な月額料金だけでなく利用上限や管理機能の有無を考慮する必要があります。特にプレミアムリクエストの回数制限は、実務での使い勝手に直結する要素です。
商用利用時の著作権とIP補償制度
AIが生成したコードが既存の著作権を侵害するリスクは、GitHub Copilotの商用利用における最大の懸念事項でしょう。
このリスクに対応するため、マイクロソフトは2023年9月にCopilot著作権コミットメントを発表し、商用プラン利用者に知的財産補償を提供しています。
Copilot Indemnityによる法的保護の仕組み


Copilot Indemnityは、BusinessまたはEnterpriseプランの利用者が第三者から著作権侵害で訴えられた際、マイクロソフトが法的費用と損害賠償を負担する制度です。
ただし補償を受けるには条件があり、GitHubが提供するガードレールとコンテンツフィルターを有効にした状態での利用が前提となります。具体的にはパブリックコードとの一致をブロックする「コード参照機能」の有効化と、組織ポリシーでの適切なセキュリティ設定が求められます。
個人向けProプランは補償対象外のため、法人としてのリスク管理を考えるとBusinessプラン以上が望ましいでしょう。
コード参照機能でパブリックコードの一致を防ぐ方法
コード参照機能(Code Referencing)は、提案されるコードがGitHub上のパブリックリポジトリと一致する場合に、出典表示または提案のブロックを行う機能です。
Organization管理画面の「Policies」から「パブリック コードに一致する提案」で「ブロック」を選択すると、150文字以上一致するコード提案が自動的に抑制されます。大規模導入企業では、この設定を全社で有効化することで意図しない著作権侵害のリスクを低減する運用が推奨されます。
この機能をBusinessプラン以上なら組織単位で強制適用できますが、Proプランでは個人設定に依存するため統制が難しいのが実情でしょう。
自社コードが学習データに使われるリスク
BusinessおよびEnterpriseプランでは、ユーザーのコードスニペットがAIモデルのトレーニングデータに使用されないことが保証されています。一方、個人向けProプランやFreeプランでは、デフォルト設定でコード提案の改善目的でのデータ収集が行われる可能性があります。
企業の機密情報を含むコードベースでの利用を考えると、Businessプラン以上の契約でトレーニングデータへの利用を完全にオプトアウトする必要があるでしょう。
GitHub Copilot Trust Centerによれば、BusinessプランとEnterpriseプランではプロンプトや提案内容はデフォルトで保持されず、診断目的で28日間保持するかを選択できるとのことです。



AIが生成したコードに対する著作権リスクは、多くの企業が懸念するポイントです。Copilotでは、法人向けプラン利用者を対象に法的補償が用意されています。
GitHub CopilotのBusinessプランを導入する具体的な手順
Businessプラン導入は、サブスクリプション契約から実際の利用開始まで主要な手順を踏むことで完了します。
特にポリシー設定とユーザー権限管理が、組織全体での安全な運用を左右する重要なポイントとなるでしょう。
サブスクリプション契約から利用開始まで
組織の管理者がGitHub OrganizationのSettings画面から「Copilot」セクションにアクセスし、「Purchase Copilot Business」を選択してライセンス数を指定するところから始まります。クレジットカード決済なら即座に契約完了となり、請求書払いを希望する場合はGitHubセールスチームへの問い合わせが必要です。
契約完了後、Organization管理画面の「Access」タブで、Copilotへのアクセスを許可するメンバーやチームを選択します。全メンバーに一律付与するか、特定チームのみに限定するかは後から変更できるため、段階的な展開も可能でしょう。
組織ポリシーとユーザー権限の設定方法
「Policies」タブで組織全体のセキュリティポリシーを設定していきます。最も重要なのは以下の3つでしょう。
- 「パブリック コードに一致する提案」を「ブロック」にすること
- 「Copilot Chat in GitHub.com」の有効化有無
- 「Copilot Chat in IDE」の許可範囲
NTTドコモの事例では、GA(一般提供)された機能のみを開放し、プレビュー機能は原則無効化しているとのこと。監査ログ機能を有効にすれば、誰がいつCopilotを使用したかの記録を保持でき、コンプライアンス要件への対応が可能になります。
主要IDE(VS Code・IntelliJ)との連携設定
ユーザー側の作業としては、VS CodeやIntelliJ IDEAに「GitHub Copilot」拡張機能をインストールし、GitHubアカウントで認証を行います。認証時の「Authorize GitHub Copilot」画面でOrganizationへのアクセスを許可すると、BusinessプランのCopilotが有効化される仕組みです。
VS Codeではコマンドパレット(Ctrl+Shift+P)から「GitHub Copilot: Sign in」を実行し、ブラウザでの認証フローを完了させます。IntelliJ IDEAの場合、「Settings」→「Plugins」から「GitHub Copilot」をインストール後、「Tools」→「GitHub Copilot」→「Login to GitHub」で同様の認証を行えば準備完了です。



Businessプランの導入は、契約作業だけでなく初期設定まで含めて考える必要があります。特に最初に行うポリシー設定は、後々のトラブル防止に大きく影響します。
日本企業のGitHub Copilot導入事例と生産性向上データ


国内大手企業では、GitHub Copilotの導入により具体的な生産性向上と開発効率化を実現しています。
ここでは測定可能なデータに基づく3つの事例を見ていきましょう。
日立製作所|生産性30%向上とコード生成率99%達成
日立製作所は2023年10月からGitHub Copilotの効果検証を開始し、2024年4月には「生成AI実務者コミュニティ」を発足させて全社展開を推進してきました。
マイクロソフトの公式顧客事例によれば、社内評価では「タスクを迅速に完了できる」との回答が83%に達し、実際の開発現場では生産性が30%向上したケースが報告されています。特に注目されるのは、既存の開発フレームワークとGitHub Copilotを連携させた取り組みで、業務ロジックのコード生成率がルールベースのみの78%から、Copilot併用により99%へと飛躍的に向上したそうです。
この成果から読み取れるのは、AIコーディング支援ツールと企業固有のフレームワークを統合することで、単純な補完機能を超えた価値を生み出せるという点でしょう。
NTTドコモ|セキュリティとコストのガバナンス両立
NTTドコモの公式技術ブログによれば、2025年9月時点でGitHub Enterprise利用者6,012名のうち3,039名にCopilotライセンスを付与し、日々最大900名が活用しているとのことです。約3ヶ月間(2025年6月8日〜9月15日)の総提案数213万件に対し、51万7,524件のコード採用(採用率24.28%)があり、月平均で約20人月に相当する作業時間削減効果を達成しました。
プレミアムリクエストは登録ユーザーの34%にあたる893名が活用し、うち31名が月間300回の上限を超えて利用しています。Looker Studioで構築した独自ダッシュボードにより利用状況を可視化し、超過分を所属部門に請求する仕組みでコスト管理とセキュリティを両立させている点がドコモの特徴です。
ROI 950%超え|6ヶ月間の効果測定結果
6名の開発チームによる6ヶ月間の実証実験では、GitHub Copilot導入により951.7%のROIが達成されました。
ライセンス費用(19ドル×6名×6ヶ月=684ドル、約102,600円)と導入研修時間(60,000円)の総コスト162,600円に対し、1機能あたりの開発時間が6.1時間から4.2時間へ31.1%短縮され、総短縮時間342時間を人件費換算(時給5,000円)すると171万円の効果が得られた計算です。
定量的な成果としては以下が記録されています。
- ストーリーポイント消化速度32%向上
- 技術的負債19.6%削減
- バグ発生率33.3%低下
- レビュー時間20%短縮
この結果が示すのは、適切な活用方法と効果測定の仕組みがあれば、中小規模のチームでも短期間で投資回収できるという可能性でしょう。



国内企業の事例では、Copilot導入による開発効率の改善が数値として示されています。単なる補完ツールではなく、既存の開発プロセスと組み合わせることで効果が高まっています。
ProプランとBusinessプランの違いを比較


月額9ドルの料金差以上に、セキュリティと管理機能で大きく異なるのが個人向けProプランと法人向けBusinessプランです。
ビジネス利用ではこの違いが企業の信頼性とコンプライアンス対応に直結してきます。
料金差は月額9ドル|機能の違いは何?
Proプランは月額10ドル(年払い100ドル)、Businessプランは月額19ドル/ユーザーで、料金差は月額9ドルとなります。両プランともプレミアムリクエストは月300回、基本的なコード補完機能やCopilot Chat、複数のIDEサポートは同等です。
しかし決定的な違いとして、Businessプランでは組織単位でのライセンス管理、セキュリティポリシーの一括設定、監査ログの取得、Copilot Indemnity(知的財産補償)の適用、トレーニングデータへの不使用保証が含まれます。
個人事業主が自己責任で利用するならProプランで問題ないでしょうが、チーム開発やクライアントワークではBusinessプランの契約が信頼性の証明になるといえます。
組織管理機能とセキュリティレベル
Businessプランでは、Organization管理者が「パブリック コードに一致する提案をブロック」「Copilot Chatの有効化範囲」「コード提案のデータ保持期間」などを一元管理し、全メンバーに強制適用できます。Proプランでは各ユーザーが個別に設定を行うため、セキュリティポリシーの統一が困難なのが実情です。
監査ログ機能により、いつ誰がどのリポジトリでCopilotを使用したかを記録でき、情報セキュリティ監査やインシデント調査に対応できるようになります。前述のNTTドコモ事例でも、この監査機能を活用して全社的なガバナンスを実現しているそうです。
個人事業主とスタートアップはどちらを選ぶべきか
自社プロダクト開発のみを行う個人事業主なら、月額10ドルのProプランで十分でしょう。ただし受託開発やクライアントワークを行う場合、契約書でセキュリティ対策やIP保護を求められることが多く、Businessプランの契約が必要になってきます。
スタートアップの場合、創業期の2〜3名であればProプランでコストを抑えつつ、資金調達やクライアント獲得の段階でBusinessプランに移行する戦略が現実的です。
将来的にIPO(株式公開)を目指す企業であれば、早期からBusinessプランで監査ログを蓄積しておくことで、上場審査でのセキュリティ対応を証明できる点もメリットといえます。



両プランは価格差以上に、管理機能と責任範囲で大きく性質が異なります。Businessプランでは、組織単位でのルール適用が可能になります。
GitHub Copilotの実務運用で押さえるべき3つのポイント
導入後の実務運用では、ライセンス管理、コスト最適化、トラブル対応の3つが継続的な成功の鍵を握ります。
適切な運用体制がなければ、投資効果が減少してしまうでしょう。
ユーザー数の増減とライセンス調整
BusinessプランはOrganization単位での契約となり、途中でのユーザー追加・削除が可能です。ユーザーを追加した場合は日割り計算で当月分が請求され、翌月から通常料金が適用されます。逆にユーザーを削除すると、当月末までは引き続き利用可能で、翌月から課金が停止される仕組みです。
プロジェクトの繁閑に応じてライセンス数を調整することで、コストを最適化できるでしょう。NTTドコモでは、パートナー企業の開発者も含めた利用者構成(ドコモグループ63.8%、パートナー36.2%)に対し、プロジェクト単位でのライセンス付与と回収を運用しています。
利用状況レポートでコスト最適化
Organization管理画面の「Usage」タブから、各ユーザーのCopilot利用状況とプレミアムリクエスト消費量を確認できます。ただしGitHub標準機能では詳細な可視化が限定的なため、NTTドコモは独自にBilling DataをLooker Studioで可視化するダッシュボードを構築したとのことです。
この仕組みにより、利用者自身が消費状況を把握でき、上限超過による予期せぬコスト発生を防止できます。月間300リクエストの無料枠を使い切っていないユーザーが多い場合は、活用方法の社内共有会やトレーニングで利用促進を図るのも一つの手でしょう。
トラブルシューティング|補完が遅い・動かない時の対処法
VS Codeでは「Extensions」から「GitHub Copilot」を検索し、「Update」ボタンの有無をチェックします。
補完が全く表示されないなら、認証状態を確認し、必要に応じて再ログインを試してみてください。
Organizationの管理者が該当ユーザーにCopilotアクセス権限を付与しているか、またOrganizationのポリシー設定で意図せずCopilotを無効化していないかを確認する必要があります。
プレミアムリクエストの上限に達した場合は、設定で追加課金を有効にするか、翌月の上限リセットまで待つしかないでしょう。



導入後の成果は、運用設計によって大きく左右されます。ライセンス数の調整を柔軟に行うことで、無駄なコストを抑えられます。
EnterpriseプランとBusinessプランの機能差
50名以上の大規模組織や複数のOrganizationを統括管理する企業では、Enterpriseプランの追加機能が運用効率とセキュリティを大きく向上させる可能性があります。
コードベースのインデックス化とカスタマイズ
Enterpriseプランでは、エンタープライズアカウント配下の複数Organizationを統括管理する機能に加え、自社のプライベートリポジトリをインデックス化してCopilotの提案に自社コードの知識を反映させることができます(この機能はBusinessプランでも利用可能です)。企業固有のコーディング規約や内部フレームワークに沿ったコード提案が可能になり、前述の日立製作所事例のようにコード生成率を99%まで高められるわけです。
インデックス化の対象はリポジトリ単位で選択でき、機密性の高いリポジトリは対象から除外することも可能です。この機能により、企業固有のコンテキストに基づく提案が可能となり、大規模開発での生産性が大きく向上するでしょう。
エンタープライズアカウントによる統括管理
Enterpriseプランでは、エンタープライズアカウント配下の全Organizationに対して統一ポリシーを適用できます。例えばセキュリティ部門が「パブリック コードに一致する提案をブロック」を全社方針として設定すれば、各Organizationの管理者がこの設定を変更できないよう強制できるのです。
NTTドコモのように共通Organizationと個別Organizationが混在する環境では、エンタープライズレベルでの統括管理が欠かせないでしょう。Enterprise管理者は、Organization横断での利用状況レポート、コスト配分、ライセンス最適化を一元的に行えます。
大規模組織が検討すべき理由
Enterpriseプランの月額39ドル/ユーザーはBusinessプランの2倍以上ですが、プレミアムリクエストが1,000回(Businessの3倍強)に拡大され、複数Organization横断での統括管理機能が追加されます。
50名以上の組織では、Organization構造が複雑化し、部門ごとに異なるセキュリティ要件が存在するケースが多いため、統括管理機能の有無が運用負荷に直結してくるでしょう。プレミアムリクエストの上限が高いことで、GPT-4やClaude Sonnetなどの高度なモデルを積極的に活用できるパワーユーザーの生産性が制約されない点もメリットです。
ROI計算では、Enterpriseプランの追加コストを年間で算出し、統括管理による運用コスト削減やプレミアムリクエスト上限拡大による生産性向上を比較すべきでしょう。



Enterpriseプランは、複数組織を横断した管理が必要な場合に効果を発揮します。全社共通のポリシーを強制適用できる点は、大規模環境で特に有効です。
GitHub Copilotのセキュリティとコンプライアンス対策
企業でのAI活用において、セキュリティとコンプライアンスは導入可否を左右する最重要事項といえます。GitHub Copilotは適切な設定により、厳格な要件にも対応可能です。
データ保護とプライバシーポリシーの設定
Businessプラン以上では、コードスニペット、プロンプト、提案内容がAIモデルのトレーニングデータに使用されないことが保証されます。Organization管理画面の「Policies」→「Data exclusions」で、テレメトリデータの収集範囲を制御できるようになっています。
デフォルト設定で、コード提案とプロンプトはGitHubのサーバーに保存されません。ユーザーエンゲージメントデータ(提案の受理・却下などの使用状況)は24ヶ月間保持されますが、コード内容そのものは保持されないため、機密情報の保護が保証されます。
金融機関や医療機関など規制産業では、データレジデンシー(データ保存地域)要件を確認し、必要に応じてGitHubのエンタープライズサポートと協議するのが賢明でしょう。
監査ログと利用状況の可視化
BusinessプランおよびEnterpriseプランでは、監査ログ(Audit Log)機能により、Copilot関連のすべてのイベント(ユーザーのアクセス許可、ポリシー変更、認証イベント)を記録できます。ログはJSON形式でエクスポート可能で、SIEMツール(Splunk、Azure Sentinelなど)と連携してセキュリティ監視を自動化できるのが特徴です。
ISO 27001やSOC 2認証を取得している企業では、これらの監査ログが外部監査での証跡として要求されます。前述のNTTドコモ事例では、監査ログを活用して組織全体のガバナンスを実現しつつ、利用状況データを基に効果測定とコスト配分を行っているそうです。
社内稟議で確認すべきチェックリスト
GitHub Copilot導入の社内稟議では、法務・情報システム部門の承認が必要になってきます。確認すべき項目は以下の5点です。
- Copilot Indemnityの補償範囲と適用条件
- データ保存場所と保存期間
- 第三者データ処理契約(DPA)の締結
- GDPR・個人情報保護法への準拠
- セキュリティ認証(SOC 2、ISO 27001)の取得状況
GitHub Copilot Trust Centerで公開されている技術文書とセキュリティホワイトペーパーを稟議資料に添付することで、法務・情シス部門の懸念に先回りして対応できるでしょう。
導入後の運用ポリシー(ユーザー権限管理、パブリックコード一致のブロック設定、プレミアムリクエストの上限管理)を明文化することで、承認のハードルを下げられます。



法人利用では、データの取り扱いと監査対応が欠かせません。Business以上のプランでは、データ利用範囲を明確に制御できます。
費用対効果の試算方法
GitHub Copilot導入の経営判断には、定量的なROI試算が欠かせません。開発時間短縮、品質向上、教育コスト削減の3つの観点で効果を測定していきましょう。
開発時間短縮によるコスト削減効果
開発時間短縮効果は「(導入前の平均開発時間 – 導入後の平均開発時間)× 年間機能数 × エンジニア時給」で算出します。前述の6ヶ月実証実験では、1機能あたり1.9時間(6.1時間→4.2時間、31.1%短縮)の削減が得られ、年間180機能の開発で342時間、時給5,000円換算で171万円の効果がありました。
より保守的な見積もりとしては、業界平均の15〜20%の時間短縮率を採用し、自社のエンジニア年間稼働時間(1,800〜2,000時間)とチーム規模で試算するアプローチも有効です。日立製作所の事例では30%の生産性向上が報告されていますが、標準的な導入では20〜25%を想定するのが現実的でしょう。
バグ削減率とレビュー時間の改善


コード品質向上の効果は、バグ発生率とレビュー時間の2つで測定していきます。前述の実証実験ではバグ発生率が33.3%低下し、コードレビュー時間が20%短縮されました。バグ修正にかかるコストは、発見が遅いほど高額化することが知られています(開発段階で発見した場合の修正コストを1とすると、本番環境での発見は10倍のコストがかかるとの研究があります)。
Copilotによる一貫性のあるコード生成と適切なテストカバレッジにより、早期発見が促進されるわけです。レビュー時間の短縮は、シニアエンジニアの時間を戦略的タスクに振り向けられるため、時給の高いリソースの有効活用として特に価値が高いといえるでしょう。
PoC実施のステップと評価指標
本格導入前に3ヶ月間のPoC(概念実証)を実施し、自社環境での効果を検証すべきです。
5〜10名の先行ユーザーで基本機能を試用します。
開発時間・コード採用率・プレミアムリクエスト消費量をトラッキングします。
定量評価とROI試算を行います。
評価指標としては、以下の4つを設定するのがよいでしょう。
- コード採用率(総提案数に対する採用率、目標20%以上)
- 1機能あたり開発時間短縮率(目標15%以上)
- プレミアムリクエスト消費量(目標:無料枠300回の70%以下)
- 開発者満足度(5段階評価で目標4.0以上)
NTTドコモの24.28%のコード採用率を参考に、自社の開発スタイルでの実績を測定することが重要です。



Copilot導入の判断には、感覚ではなく数値による評価が欠かせません。開発時間の短縮やレビュー負荷の軽減は、比較的測定しやすい指標です。
よくある質問|GitHub Copilotの商用利用について
商用利用の契約や運用に関して、ビジネス担当者から頻繁に寄せられる5つの質問に回答していきます。
無料プランでの商用利用は規約違反になりますか?
GitHub Copilot Freeプランは個人利用を想定したプランです。月50回のプレミアムリクエスト制限があり、高度なモデル(GPT-4、Claude Sonnet)の利用が極めて限定的です。Freeプランではコード提案がAIトレーニングデータに利用される可能性があり、知的財産補償(Copilot Indemnity)の対象外となります。
個人の趣味プロジェクトや学習目的であれば問題ないでしょうが、クライアントワークや企業プロダクト開発では、最低でもBusinessプランの契約を推奨します。
個人プランから法人プランへの切り替え方法は?
個人のProプランからBusinessプランへの切り替えは、OrganizationオーナーがOrganization管理画面でBusinessプランを契約し、該当ユーザーにアクセス権を付与することで完了します。個人のProプランサブスクリプションは別途キャンセル手続きが必要で、キャンセル後は次回更新日まで引き続き利用可能です。
両方のプランが同時に有効な期間は重複課金となるため、Proプランの更新日を確認してからBusinessプランの契約タイミングを調整するのが賢明でしょう。GitHubアカウント自体は同一のものを使用でき、認証し直すだけでBusinessプランの機能(組織ポリシー、監査ログなど)が適用されます。
途中解約した場合の返金対応はありますか?
GitHub Copilotは月次または年次のサブスクリプション契約で、途中解約時の日割り返金は行われません。月次契約の場合、解約手続きを行った時点で次回更新が停止され、当月末まではCopilotを引き続き利用できます。年次契約の場合も同様で、解約時点から契約終了日(1年後)までは利用可能ですが、残期間の返金はないのが実情です。
コスト効率の観点では月次契約の方が柔軟性が高く、利用状況を見ながら継続判断できるでしょう。年次契約は月次より約17%割安ですが、PoC段階では月次契約でスタートし、効果が確認できてから年次契約に切り替える戦略が無難といえます。
Copilotが生成したコードの著作権は誰に帰属しますか?
GitHub Copilotが生成したコードの著作権は、コードを生成・修正したユーザー(または雇用契約に基づき雇用主)に帰属します。GitHubの利用規約では、AIが生成した出力に対する権利をユーザーに付与しているためです。
ただしCopilotが既存のパブリックコードと類似したコードを提案した場合、その元のコードのライセンスが適用される可能性があります。これを防ぐため、Businessプラン以上では「パブリック コードに一致する提案をブロック」機能を有効化し、150文字以上一致する提案を自動的に排除できます。
万が一の著作権侵害訴訟に対しては、Copilot Indemnityにより、マイクロソフトが法的費用と損害賠償を負担してくれます。
複数の組織で同じアカウントを使い回せますか?
1つのGitHubアカウントで複数のOrganizationに所属することは可能で、それぞれのOrganizationでCopilotのアクセス権を付与されていれば、所属Organization間で切り替えながら利用できます。
ただしCopilotのライセンスはOrganizationごとに管理されるため、各Organizationが個別にライセンス費用を負担する仕組みです。あるOrganizationでBusinessプランのCopilotを付与されていても、別のOrganizationで付与されていなければ、そのOrganizationのリポジトリではCopilotを使用できません。
フリーランスや副業エンジニアが複数のクライアント企業のOrganizationに参加する場合、各企業がそれぞれCopilotライセンスを契約する必要があり、個人のProプランで代替することはできないのが実情です。


