DeepL翻訳の情報漏洩対策|ビジネス利用で後悔しないためのセキュリティ基礎知識

DeepL翻訳の情報漏洩対策|ビジネス利用で後悔しないためのセキュリティ基礎知識

「DeepL翻訳は無料で使えて便利だけど、会社の資料を翻訳しても大丈夫?」「情報漏洩のリスクはないの?」ビジネスでDeepLを活用する際、こうした不安を感じたことはありませんか?実は、無料版のDeepL翻訳では翻訳データがサーバーに保存され、機密情報の取り扱いに注意が必要です。

この記事では、DeepL無料版と有料版(Pro)のセキュリティの違い、翻訳サービスで起きた情報漏洩事件の教訓、企業が安全にDeepLを導入するための具体的な方法を徹底解説します。Google翻訳やChatGPTとのセキュリティ比較、日本航空電子工業(JAE)などの導入事例、さらに情報漏洩を防ぐための5つの対策まで、ビジネスAI活用の実践的なアドバイスを提供します。

翻訳ツールの選定に迷っている経営者、IT担当者、セキュリティ責任者の方は必見の内容です。DeepLを安全に活用し、業務効率化と情報セキュリティの両立を実現しましょう。

この記事でわかること
  • DeepL無料版と有料版(Pro)のセキュリティの決定的な違い
  • 翻訳サービスで起きた情報漏洩事件と対策
  • ビジネスで安全にDeepLを導入する完全ガイド
  • Google翻訳・Microsoft翻訳・ChatGPTとのセキュリティ比較
  • 導入企業の事例と業務効率化の効果
目次

DeepL無料版は危険?情報漏洩のリスクと仕組み

無料版で入力したデータはどこへ行く?

DeepL無料版に入力したテキストデータは、翻訳処理後も一定期間サーバー上に保存されます。保存されたデータはDeepLのAIシステム改善と品質向上に活用される仕組みです。

ユーザーが入力した原文と翻訳結果は、ニューラルネットワークの訓練データとして使われています。つまり、あなたの会社の重要文書が他のユーザーの翻訳品質向上のための教材になってしまう可能性があるのです。

翻訳データがAI学習に使われる仕組み

DeepL無料版では、入力されたテキストがニューラルネットワークおよびアルゴリズムの訓練と改良のために一定期間保持され、学習データとして利用されます。これにより、翻訳アルゴリズムの強化や性能の向上が図られているのです。

しかし、改善プロセスで使用されるデータにはビジネス文書や個人情報が含まれる可能性があり、企業にとって深刻なセキュリティリスクとなるでしょう。実際、利用規約では「個人データの類が含まれるテキストは無料版で使用禁止」と明記されていますが、多くのユーザーがこの規約を見落としているのが現実です。

実際に起きた翻訳サイトの情報漏洩事件|I Love Translation事件の教訓

2015年に発生した「I Love Translation」事件は、翻訳サービスの情報漏洩リスクを象徴する重大事例です。

この事件では、デフォルトでオンになっていたチェックボックスにより、ユーザーが入力した原文と訳文が保存され、検索エンジン経由で誰でも閲覧可能な状態になりました。

  • 中央省庁や銀行の業務メール
  • 弁護士と依頼人のやりとり
  • 大手企業の機密情報を含んだメールのやり取り
  • Googleなどの検索エンジンの検索結果に表示され、企業や個人を特定できる状態に

この事件を受けて、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)がクラウドサービスの利用について緊急の注意喚起を行いました。

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DeepL無料版のような公開AIサービスでは、入力データが翻訳精度向上のために二次利用される可能性があります。機密性の高い業務データを扱う場合、モデル訓練への提供リスクを十分に理解し利用環境を選定する必要があります。

DeepL有料版(Pro)のセキュリティ対策と安全性

前述の無料版のリスクを踏まえると、企業がDeepLを安全に活用するにはPro版の導入が不可欠です。ここからは、有料版が提供する具体的なセキュリティ機能を見ていきましょう。

無料版との決定的な違い|データ保護の仕組み

DeepL Proの最大の特徴は、翻訳データが学習に一切使用されない点にあります。無料版では入力されたテキストがAIの改善のために保存・活用されますが、Pro版では「お客様の同意なしにテキストを保存することはありません」と明確に保証されています。

さらに、「インメモリ処理」という技術を採用し、翻訳処理中のデータもメモリ上でのみ処理され、ハードディスクには一切保存されません。DeepL公式では「入力テキストと訳文は一切保存されず、EU法のもとでデータの安全性が保証されている」と明記されています。。

翻訳後すぐに削除される安心の仕組み

DeepL Proでは、翻訳処理に必要な最小限の時間のみデータが一時保存され、処理後は削除される仕組みになっています。翻訳する文書ファイルはTLS暗号化により保護され、翻訳完了までの間のみハードディスクに一時保存され、データ出力後は完全に削除されます。

公式資料によると、「サービスを提供するために技術的に必要な範囲でのみ、コンテンツまたは処理済みコンテンツを一時的に保存します」とあり、この一時保存も翻訳処理に必要な最小限の時間に限定されています。企業の機密情報が長期間サーバーに残存するリスクを完全に排除した設計といえるでしょう。

暗号化通信とサーバーセキュリティ

DeepLでは、顧客とサーバー間のデータ交換に「最先端の暗号化されたインターネット接続」を使用しています。すべての通信は暗号化され、機密が確保される仕組みになっています。

データの送受信中に第三者に情報が傍受される可能性を最小化しているため、企業のセキュリティ要件を満たす設計です。通信経路とサーバー上の両方で機密が確保されることを保証しており、ビジネス文書を安全に翻訳できる環境を提供しています。

ISO 27001認証取得の意味

DeepLは、国際的なセキュリティ基準であるISO 27001とSOC 2 Type2の認証を取得しています。

DeepLが取得している国際認証

ISO 27001:情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格で、組織が情報セキュリティを継続的に管理・改善していることを証明するもの

ISO 27001認証は、DeepLが国際的なセキュリティ基準を満たしていることを示す重要な指標です。

企業が導入を検討する際、これらの国際認証は信頼性の重要な指標となります。

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インメモリ処理とTLS通信により、翻訳処理中・通信中の情報漏洩リスクも最小化されています。さらに、ISO 27001およびSOC 2 Type2といった国際認証の取得も企業利用における信頼性の裏付けとなります。

ビジネスでDeepLを使う前に確認すべき3つのポイント

セキュリティ機能を理解したところで、次は実際の業務での活用基準を明確にする必要があります。判断を誤ると大きなリスクを招くため、以下の3つのポイントを押さえましょう。

翻訳する文書の機密レベルを分類する

企業が安全に活用するには、まず翻訳対象文書の機密レベルを明確に分類することが不可欠です。情報セキュリティの観点から、文書は一般的に「公開情報」「社内限定情報」「機密情報」の3段階に分類されます。

公開情報は既に外部に公開されている内容のため無料版でも問題ありませんが、社内限定情報以上については慎重な判断が求められます。特にビジネスの場では社外に流出してはならない情報を扱うことが多いため、セキュリティが確保された有料版の利用が望ましいとされています。

発売前の新製品情報や顧客データなど、競合他社に知られると大きな損害につながる情報については、絶対に無料版を使用してはいけません。

公開情報・社内情報・機密情報の判断基準

分類
公開情報

既に企業のウェブサイトやプレスリリースで発表済みの内容、業界の一般的な情報など

分類
社内限定情報

組織図や内部手続き、社内イベントの詳細など、外部に出ても重大な損害はないものの社内での共有に留めるべき情報

分類
機密情報

未発表の新製品情報、顧客の個人データ、財務情報、戦略計画、契約書の詳細など

特に個人データの類が含まれるテキストについては、利用規約でも無料版での使用が明確に禁止されています。この判断基準を社内で統一し、従業員全員が理解できるガイドラインを作成することが重要でしょう。

無料版を使ってはいけない文書とは?

DeepL無料版を使用してはいけない文書として、まず個人情報を含むあらゆる文書が挙げられます。

  • 顧客の氏名・住所・電話番号・メールアドレスが記載された契約書、人事評価シート、給与明細書
  • 未発表の製品開発計画、競合分析資料、M&Aに関する検討資料、特許出願前の技術文書
  • 弁護士と依頼人間の法的相談内容、医療機関での診療記録、金融機関の顧客取引履歴(過去のI Love Translation事件で実際に漏洩した例)
  • サプライヤーとの価格交渉資料、営業戦略書、内部監査レポートなど

競合他社に知られると事業上の不利益を被る可能性があるすべての文書は無料版の使用対象外とすべきです。

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業務翻訳におけるリスク回避には、まず翻訳対象の情報分類を徹底することが最優先です。特に個人情報や未発表の製品情報は、無料版利用による意図しない漏洩の温床になり得ます。

企業がDeepL Proを安全に導入する方法

文書の分類基準が明確になったら、次は実際の導入プロセスに移ります。

適切な導入手順を踏むことで、セキュリティリスクを最小化しながら業務効率を高めることができます。

導入前のセキュリティチェックリスト

DeepL Pro導入を検討する企業は、まず自社のセキュリティポリシーとの整合性を確認する必要があります。

導入前チェック項目
  • データの保存期間(Pro版では処理後に削除される仕組み)
  • 第三者への情報提供の有無(Pro版では一切なし)
  • 暗号化レベル(TLS暗号化対応)
  • GDPR対応が必要な企業では、EU法のもとでデータの安全性を保証していることを確認
  • ISO 27001やSOC 2 Type2などの国際認証取得状況
  • 翻訳対象となる文書の種類と量を事前に把握

料金プランの選び方|個人向けとチーム向けの違い

DeepL Proには個人向けプランとチーム向けプランが用意されており、組織の規模と用途に応じて選択できます。個人向けプランは月額1,150円から利用可能で、基本的なセキュリティ機能と翻訳機能を提供します。チーム向けプランでは、管理者機能、使用状況の監視、一括請求などの企業向け機能が追加されます。

大規模企業には、より高度なセキュリティ機能と専用サポートを提供するエンタープライズプランも用意されています。プラン選択の際は、同時利用者数、月間翻訳文字数の上限、API利用の可否、サポートレベルなどを比較検討することが重要です。

API連携による安全な利用方法

DeepL ProのAPI機能を活用することで、より安全で効率的な翻訳環境を構築できます。API連携により、企業のシステムから直接DeepLの翻訳機能を呼び出すことができ、プログラム内で翻訳処理まで完結できます。特に、Office連携ツールを使用することで、Microsoft WordやExcelから直接安全に翻訳を実行できます。

また、企業の既存システムと連携することで、翻訳作業の自動化と品質の標準化を実現できます。API利用時は、アクセストークンの管理、使用ログの監視、異常アクセスの検知など、セキュリティ対策も強化する必要があります。

社内ルールと従業員教育のポイント

DeepL Pro導入成功の鍵は、明確な社内ルールの策定と従業員教育にあります。

STEP
ポリシーの策定

無料翻訳ツールの使用を全面禁止し、承認されたDeepL Proのみの使用を義務付けるポリシーを策定

STEP
ガイドライン作成

翻訳可能な文書のガイドラインを作成し、機密レベルに応じた使用ルールを明文化

STEP
従業員トレーニング

過去の情報漏洩事件(I Love Translation事件など)の具体例を示し、リスクの深刻さを理解させる

STEP
監査体制の構築

違反行為を発見した場合の報告体制、定期的な使用状況の監査、セキュリティ意識向上のための継続的な教育プログラムを整備

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DeepL Pro導入は単なるツール選定ではなく、情報セキュリティ設計の一環として捉えるべきです。API連携により業務フローに溶け込ませることで、セキュリティと生産性を両立できます。

DeepLと他の翻訳ツールのセキュリティ比較

DeepL Pro以外にも様々な翻訳サービスが存在します。それぞれのセキュリティ特性を理解し、自社に最適なツールを選択することが重要です。

Google翻訳のデータ取り扱い

Google翻訳は世界中で広く利用されている無料翻訳サービスですが、データの取り扱いには注意が必要です。同サービスに入力されたテキストは、Googleのサービス改善と機械学習モデルの訓練に使用される可能性があります。翻訳内容がGoogleのデータセンターに保存され、サービス品質向上のために分析されます。

また、Googleアカウントでログインし、アクティビティ管理をオンにしている場合、翻訳履歴が保存されるため、過去の翻訳内容が長期間残る可能性があります。企業で業務利用する場合は、Google Cloud Translation APIを利用することで、データ保護レベルを向上させることができます。

Microsoft翻訳のセキュリティ対策

Microsoft翻訳は、企業向けに比較的高いセキュリティレベルを提供している翻訳サービスです。Microsoft Azure Cognitive Servicesの一部として提供されており、エンタープライズグレードのセキュリティ機能を備えています。

特にMicrosoft 365環境で利用する場合、データはMicrosoftのコンプライアンス基準に従って処理され、GDPR準拠の保護が提供されます。また、ログインユーザーの翻訳データについて、AIの学習には使用しないオプションが用意されている点が特徴です。

ただし、無料版のWebサイトでは、入力されたデータがサービス改善のために使用される可能性があるため、機密情報の翻訳には有料のAzure Translator Serviceの利用が推奨されます。

ChatGPTで翻訳する場合の注意点

ChatGPTは高精度な翻訳が可能ですが、ビジネス利用には重大なセキュリティリスクが伴います。

  • 無料版のChatGPT(GPT-3.5)では、入力されたすべての会話内容がOpenAIのモデル改善のために使用され、学習データとして保存
  • 2023年にはサムスン電子で、エンジニアが機密情報を入力したことで情報漏洩が発生した事例
  • 有料版のChatGPT Plus(GPT-4)でも、デフォルト設定では会話履歴が保存されるため、設定で「チャット履歴とトレーニング」をオフにする必要

企業向けのChatGPT Enterpriseでは、入力データがAIの学習に使用されない保証がありますが、コストは高額になります。

翻訳専用に設計されたDeepLと比較すると、汎用AIのため翻訳精度とセキュリティの両面で企業利用には不向きな面があるといえるでしょう。

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翻訳ツールごとにセキュリティポリシーや学習利用の扱いが大きく異なるため、利用前に必ず仕様確認が必要です。特に無料版では、翻訳内容がAIモデルの改善に使用されるリスクがある点を見落とさないようにしましょう。

情報漏洩を防ぐ!企業が取るべき5つの対策

翻訳ツールの選択だけでなく、組織全体でセキュリティ体制を構築することが不可欠です。ここでは、実践的な5つの対策を紹介します。

無料翻訳ツール使用禁止ポリシーの策定

企業が情報漏洩リスクを最小化するためには、まず無料翻訳ツールの使用を明確に禁止するポリシーを策定することが必須です。このポリシーには、禁止対象となる具体的なサービス名(DeepL無料版、Google翻訳無料版、ChatGPT無料版など)をリストアップし、従業員が迷わないようにします。

また、承認されたツール(例:DeepL Pro、Microsoft Azure Translator)のみを使用することを義務付け、違反した場合の罰則規定も明記すべきでしょう。ポリシー策定時には、IT部門、法務部門、セキュリティ担当者が協力し、自社のセキュリティ基準に適合した内容にすることが重要です。

翻訳可能文書のガイドライン作成

情報の機密レベルに応じた翻訳ガイドラインを作成することで、従業員が自己判断できる環境を整備します。以下は一般的なセキュリティの考え方に基づく使用基準の例です。

機密レベル別の翻訳ツール使用基準
  • 公開情報(一般公開済みの資料)→ 無料版OK
  • 社内限定情報(組織図、社内手続き)→ DeepL Pro推奨
  • 機密情報(未発表製品情報、顧客データ、財務情報)→ DeepL Pro必須

特に個人情報保護法の観点から、顧客の氏名や連絡先を含む文書は絶対に無料ツールで翻訳しないよう強調する必要があります。また、翻訳前に上長の承認が必要な文書の範囲も定義し、チェック体制を構築することが効果的でしょう。

セキュアな翻訳環境の構築方法

技術的な対策として、企業内でセキュアな翻訳環境を構築することが推奨されます。

  • API機能を活用し、社内システムと連携させることで、外部サイトへのアクセスを制限
  • ファイアウォールやプロキシサーバーで無料翻訳サイトへのアクセスをブロック
  • CASB(Cloud Access Security Broker)ソリューションを導入し、従業員がどの翻訳サービスを使用しているかをリアルタイムで監視
  • Office連携ツールを導入し、WordやExcelから直接安全に翻訳

定期的なセキュリティ監査の実施

翻訳ツールの使用状況を定期的に監査することで、ポリシー違反を早期に発見し是正できます。監査では、従業員のWebアクセスログを分析し、無料翻訳サイトへのアクセス履歴がないか確認します。また、承認ツールの使用ログを確認し、異常な大量翻訳や不適切な文書の翻訳がないかチェックすることも重要です。

四半期ごとにセキュリティレビューを実施し、新たに登場した翻訳サービスへの対応や、ポリシーのアップデートが必要かを検討すべきでしょう。監査結果は経営層に報告し、組織全体でセキュリティ意識を共有することが効果的です。

従業員向けリテラシー教育プログラム

技術的な対策と同じく重要なのが、従業員のセキュリティリテラシー向上です。

教育
新入社員研修

I Love Translation事件などの具体的な情報漏洩事例を紹介し、無料翻訳ツールのリスクを理解させる

教育
年1回の全社員向けeラーニング

最新の脅威やセキュリティポリシーの変更点を周知

教育
実践的なケーススタディ

実際の業務シーンを想定したケーススタディを用いて、「このような場合どうすべきか」を考えさせる

教育
違反事例の共有

違反事例があった場合は匿名化して全社に共有し、再発防止につなげる

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従業員の誤操作が最大のリスク源となるため、継続的な教育と内部監査の仕組みが効果を発揮します。アクセス制限やログ監視の技術対策だけでは不十分であり、ポリシーを実行する体制が重要です。

DeepL Pro導入の費用対効果|コストと業務効率化

セキュリティ対策には当然コストがかかります。

しかし、適切な投資は情報漏洩リスクの回避だけでなく、業務効率の大幅な向上にもつながります。

2025年最新の料金プラン詳細

DeepL Proの料金プランは2025年時点で、個人向けとチーム向けの2つの主要カテゴリーに分かれています。個人向けプランは月額1,150円から利用可能で、基本的な翻訳機能と文書ファイルの翻訳、データ保護機能が含まれます。年間契約にすることで月額換算が約1,150円になり、約17%の割引が適用されます。

チーム向けプランは1ユーザーあたり月額1,500円から提供され、管理者機能、使用状況の統計、一括請求などの企業向け機能が追加されます。さらに大規模企業向けのエンタープライズプランでは、専用サポート、カスタムAPI制限、SLA(Service Level Agreement)保証などが提供され、料金は利用規模に応じて個別見積もりとなります。

人手翻訳と比較した場合のコスト削減効果

人手による翻訳と比較すると、導入は劇的なコスト削減につながります。一般的に、プロの翻訳者に依頼する場合の料金は日本語から英語への翻訳で1文字あたり10〜20円が相場です。

コスト削減シミュレーション

【例】5,000文字の契約書を翻訳する場合

  • 人手翻訳:5万〜10万円 + 納期数日
  • DeepL Pro:月額料金内で即座に完了

【例】月に10件の文書翻訳が必要な企業の場合

  • 人手翻訳:月額50万〜100万円
  • DeepL Pro:月額数千円
  • 年間削減額:数百万円

ただし、機械翻訳のため、法的拘束力のある契約書や専門性の高い技術文書では、最終的な人間による校正が必要な点には注意が必要でしょう。AIコンサルタントの観点からは、初稿を作成し、専門家が最終チェックする「ハイブリッド方式」が最もコスト効率が高いといえます。

導入企業の成功事例|日本航空電子工業(JAE)の活用法

日本航空電子工業株式会社(JAE)は、DeepL Proを導入して業務効率化に成功した代表的な事例です。

同社では、海外拠点とのコミュニケーションや技術文書の翻訳に多くの時間を費やしていましたが、導入により翻訳作業時間を大幅に削減しました。

成果
外部委託から社内処理へ

英語資料作成において、これまで1週間かかっていた翻訳作業が即座に完了するようになり、作業時間を大幅に短縮できるようになった

成果
コミュニケーション品質向上

高精度な翻訳により、誤訳による誤解やコミュニケーションエラーが減少し、海外顧客との関係構築がスムーズになった

成果
競争力の強化

単なるコスト削減だけでなく、スピードと正確性の向上により競争力を高めることができた

AIコンサルタントとして分析すると、製造業や技術系企業が導入する際は、専門用語の登録機能(用語集機能)を活用し、自社特有の用語を正確に翻訳できる環境を整備することが成功の鍵となります。

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翻訳AI導入は、コスト削減と業務効率化の両立を実現する合理的な選択肢となります。料金プランは幅広く、規模や用途に応じた柔軟な設計が可能です。

セキュリティリスクを考慮した翻訳ツールの選び方

最後に、自社に最適な翻訳ツールを選定するための判断基準をまとめます。セキュリティと利便性のバランスを考慮した選択が重要です。

自社のセキュリティポリシーとの整合性確認

翻訳ツールを選定する際は、まず自社のセキュリティポリシーとの整合性を確認することが最優先です。

  • データの保存期間、第三者へのデータ提供の有無、利用地域のデータ保護法への準拠状況などをチェック
  • GDPR準拠が必要な企業では、EU法のもとでデータの安全性を保証していることを確認
  • 個人情報保護法に基づき個人データを取り扱う企業では、翻訳サービスが「委託先」に該当するため、適切な管理措置が求められる
  • ISO 27001やSOC 2 Type2などの国際認証を取得しているサービスを選ぶことで、セキュリティ基準を満たしていることを客観的に証明可能

クラウド型とオンプレミス型の選択基準

翻訳ツールには、クラウド型(SaaS)とオンプレミス型の2つの提供形態があります。

クラウド型 vs オンプレミス型

【クラウド型のメリット】

  • 導入が容易で初期コストが低い
  • 常に最新の翻訳エンジンを利用できる

【クラウド型のデメリット】

  • データが外部サーバーに送信されるため、極めて高度な機密情報を扱う企業では懸念が残る

【オンプレミス型のメリット】

  • 翻訳エンジンを自社サーバー内に設置するため、データが外部に出ることはない

【オンプレミス型のデメリット】

  • 初期投資が数百万円規模になる
  • 定期的なメンテナンスが必要
  • 翻訳精度がクラウド型より劣る可能性

AIコンサルタントの観点からは、一般的なビジネス文書にはクラウド型を使用し、国防・金融・医療など最高レベルの機密性が求められる分野ではオンプレミス型を選択するハイブリッド戦略が現実的でしょう。

CASBソリューションによる翻訳ツール管理

CASB(Cloud Access Security Broker)は、クラウドサービスの利用を可視化・制御するセキュリティソリューションです。導入することで、従業員がどの翻訳サービスをいつ使用したか、どのような内容を翻訳したかをリアルタイムで監視できます。

  • 承認されていない無料翻訳サイトへのアクセスを検知すると、自動的にブロックしたり、セキュリティ担当者に通知
  • データの内容を分析し、機密情報(クレジットカード番号、マイナンバーなど)が含まれるテキストの翻訳を防ぐDLP(Data Loss Prevention)機能
  • 主要なCASBベンダー:Microsoft Cloud App Security、Netskope、Zscaler、McAfee MVISION

中堅・大企業でクラウド翻訳サービスを安全に活用するには、CASB導入による包括的なクラウドセキュリティ戦略が不可欠といえるでしょう。

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翻訳ツール選定においては、データ保護要件と運用コストのバランスが鍵となります。SaaS型は迅速導入に適しますが高機密環境ではオンプレミスも検討対象となります。特にCASBの導入により、翻訳ツール利用の可視化と誤使用の防止が可能です。

よくある質問|DeepLの情報漏洩とセキュリティ対策

DeepL無料版を業務で使うと情報漏洩しますか?

DeepL無料版を業務で使用すると、情報漏洩のリスクが存在します。

無料版では、入力されたテキストが一定期間サーバーに保存され、AIの改善のために使用される可能性があるためです。特に顧客情報、未発表の製品計画、財務データなどの機密情報を翻訳した場合、それらが学習データとして利用されるリスクがあります。

利用規約でも「個人データの類が含まれるテキストは無料版で使用禁止」と明記されており、ビジネス文書の翻訳には有料版(DeepL Pro)の使用が強く推奨されています。企業として従業員に無料版の業務利用を禁止し、承認されたツールのみを使用させるポリシーを策定することが重要でしょう。

有料版に切り替えれば過去の翻訳データも安全ですか?

残念ながら、無料版から有料版に切り替えても、過去に無料版で翻訳したデータが遡って保護されるわけではありません。

無料版で入力したテキストは既にサーバーに保存され、AI学習の教材として使用されている可能性があるためです。有料版のデータ保護は、Pro契約後に翻訳したデータにのみ適用されます。

  • 翻訳した情報の種類を特定する
  • 顧客への通知が必要か判断する
  • 契約条項に違反していないか確認する
  • 法的リスクを法務部門と確認する

今後の対策としては、直ちに有料版に切り替え、従業員への教育を徹底し、過去の失敗から学ぶことが重要です。

PDFや画像ファイルの翻訳も情報漏洩のリスクがありますか?

PDFや画像ファイルの翻訳も、テキスト入力と同様に情報漏洩のリスクがあります。DeepL無料版でPDFをアップロードして翻訳する場合、ファイル内のテキストが抽出され、サーバーに保存される可能性があるためです。特にOCR(光学文字認識)機能を使って画像から文字を読み取る場合、元の画像データがサーバーに送信され、一定期間保存される可能性があります。

Pro版では、文書ファイルはTLSデータ暗号化により保護されます。翻訳処理に必要な最小限の時間のみ一時保存され、処理後は削除される仕組みになっています。しかし、無料版ではこの保証がないため、契約書、請求書、設計図面など機密性の高いPDFや画像は絶対に翻訳してはいけません。Pro版を使用する場合でも、ファイルアップロード前にセキュリティ設定を確認し、適切な管理を行うことが重要でしょう。

社内で無料版を使っている従業員がいた場合の対処法は?

社内で無料版の使用が発覚した場合、迅速かつ組織的な対応が必要です。

対処
詳細なヒアリング

使用していた従業員から、どのような情報を翻訳したか、いつから使用していたか、何件程度翻訳したかを把握

対処
リスク評価

翻訳した情報の機密レベルを評価し、顧客の個人情報や重要な機密情報が含まれていた場合は、法務部門と相談

対処
技術的対策

ファイアウォールで無料翻訳サイトへのアクセスをブロックし、物理的に使用できない環境を構築

対処
全社員への教育

緊急の注意喚起を行い、無料翻訳ツールのリスクを再教育

対処
再発防止策

承認されたツール(DeepL Proなど)の導入を急ぎ、翻訳ガイドラインを明文化し、定期的な監査体制を確立

DeepL ProとChatGPTはどちらが安全ですか?

ビジネス翻訳の観点では、DeepL ProがChatGPTより安全性と専門性の両面で優れています。

DeepL Pro vs ChatGPT 比較

【DeepL Pro】

  • 翻訳に特化して設計されており、入力テキストと訳文は一切保存されず、AI学習にも使用されない明確な保証
  • ISO 27001とSOC 2 Type2の認証を取得し、企業向けセキュリティ基準を満たす
  • 翻訳に特化して設計されており、高精度な翻訳を提供

【ChatGPT】

  • 汎用的な生成AIであり、無料版(GPT-3.5)では入力内容が学習データとして使用
  • 有料版のChatGPT Plus(GPT-4)でも、設定で「チャット履歴とトレーニング」をオフにしない限り、会話内容が保存されるリスク
  • ChatGPT Enterpriseプランでは企業向けのデータ保護が提供されるが、料金は高額

ただし、翻訳以外の文書作成や要約にはChatGPTが有用なため、用途に応じて使い分けることが賢明でしょう。

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